岩波書店の『世界』の2015年12月号掲載の「バーニー・サンダースの台頭」という記事を読みました。
世界 2015年 12 月号 [雑誌] |
「リンカーンやルーズベルトが果たせなかった経済的正義実現の闘いを引き継ぐ米国の歴史的な文脈で語られるべき」とあり、すごい時代になってきたものだと思いました。
特に心に残ったのは、次の部分。
サンダースは、どのような複雑な問題について質問されても学校の先生のように分かりやすくすらすらと説明でき、指摘された無知や過ちから迅速に学ぶ姿勢がある。「指摘された無知や過ちから迅速に学ぶ姿勢」について、この記事の執筆者の宮前さんは、シアトルの集会で起こった出来事を実例として挙げていました。
若い黒人女性の活動家が突然壇上に上がって、サンダースさんの演説を遮り、全米で広がる黒人に対する警察の暴力について言及が足りないと抗議。その際、サンダースさんはその女性にステージを譲ったそうです。そして、ここで学んだことをさらに深めて、テレビ放送の議論の場で、「シアトルの活動家たちの渾身の抗議の意図を汲み上げ、路上の抵抗運動への確固たる連帯を示した」らしい。
こういうのって、プライドが邪魔してできない人のほうが断然多い。サンダースさんは、自分のちっぽけな虚栄心を守ることではなく、もっと大きな、「弱者のために政治はある」という、みんなのためになる目的をしっかりと見据えているから、こういうことができるのだろうなぁと思いました。
そして、もう1つ、アメリカの有権者、主権者である国民がすごいな、と思ったことがありました。
巨大企業からの政治献金を拒否しているサンダースは、選挙資金の八〇%をニ〇〇ドル以下(筆者注:22,300円くらい)、平均30ドル(注:3350円くらい)というごく少額を寄付する膨大な数の一般市民に依存しており、ほかのどの候補よりも早く、一◯◯万ドル獲得を達成した。米国史上すべての大統領選挙候補の政治資金確保の履歴を上回る勢いである。有権者の代表という意識がしっかりあるのだろうと思います。お金って生々しい話ですが、巨大企業からの政治献金をもらっている政治家は、巨大企業を怒らせるような政策が打てない。市民からお金をもらっている政治家は、市民のためになる政治しかできない。何を後ろ盾に行動できるかというのは、かなり大きいと思います。こういうことが日本でもできるようになるといいなぁ。
私の選挙区の議員さんは、お金はどうか知らないけれど、有権者の心をしっかり掴んでいるのか、安定して多くの得票を獲得。「君、選挙強いよね~」と安倍首相がおだててくるらしい。地元の公民館などでの国政報告会にも、数百人集まるそうです(男社会だから、恐ろしくて相方に行ってもらっている)。
彼は、一人一人の有権者の支えがあるおかげで、組織票を気にする必要がないため、市民目線で、自由にガンガン攻められるようです。国会での質問回数も多いし、年金が株の投資に使われていることなど、「お、知ってるんだ(゚д゚)!」と思うことも、結構しっかり調べて追求してくれています。自分の所属する政党についても、おかしいことはおかしいと発言。組織票や、党内での人間関係が気になって行動できないような状態だと、とてもできないことだと思います。
かたや、別の選挙区で当選した自民党の議員さんは、一番中心的な駅の交差点前でなにやら演説しているのをときどき見かけるのですが、毎回、誰一人立ち止まっていなくて、ちょっとかわいそう。閑古鳥が鳴いている感じたけど、なぜか当選する、というこの人は、市民のための政治ではなくて、自民党のための政治、自民党を支えている大企業のための政治しかできないのだろうと思います。
サンダースさんとその支持者についての記事を読んで改めて、やっぱり、国民一人一人の力は強いのだと思いました。その力に気づいて、使っていくだけで、世の中は自分たちのために、普通の人から幸せに豊かになるように変えられるのだと思いました。
『世界』に掲載の同記事、以下でも読めました↓
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