【旧暦弥生二日 清明 初候 玄鳥至(つばめきたる)】
本屋さんに久しぶりに行ったら、一瞬、「戦前?」と思うような雑誌コーナーに出くわしました。日本刀が表紙にずらりと並んだムック、国粋主義的な雑誌、戦争にロマンを感じるような雰囲気の表紙の雑誌、などなどが並んでいて、ちょっとぞわーっとしました。普通の本屋さんです。
おんなじ人が、いっぱい本を出していて、いっぱい平積みになっているのもぞっとしました。
ぱっとみた感じ、陳列台1台の5~8割を1人で占領していたのは、池上彰さん(「週刊こどもニュース」でおなじみのジャーナリストさん)、竹田恒泰氏(この時代錯誤のツイートで初めて名前を知った→☆)、ケント・ギルバート氏(基地反対市民が日当2万円の給与をもらっているという根も葉もないデマを拡散しているタレント→参照☆)など。
いっぱい本出してるとすごい人なんだーと思って、信じてしまう人って結構いるのでは。池上さんのようにいい本を出されている方ももちろんいるんですが、たくさん本を出しているからと言って、その著者の言うことが必ずしも的を得ている、正確である、とは限りません。出版業界もとりあえず売れそうな人に声をかけてガンガン出させる、っていう感じになっているとも聞きます(ちきりんさんとか→☆)。
従って、いっぱい本を出しているからといって、まともな内容を書いているというわけではありません。嘘でもデフォルメでもなんでもいいから過激なことを言う、すると読者が快感を覚えていっぱい買ってくれるっていう人もいるし。「いっぱい本を書いているこの人が言っているから」と信じるのではなくて、内容一つ一つの真偽を確かめて、主張を下支えしている事例が正しいかどうかを検証する必要がある。そのためには、多様な人の意見を聞くことが重要で、人によって事実の認識に差異がある部分は、検証の余地があるということ。どっちの言っていることが正しいかどうかが一目瞭然なこともあります。
一部の人たちの声が大きくなるのは、本当に危険だと思います。多様な意見ではなくて、一部の人が棚を占領している。ぱっと目に入る円内、同じ顔。棚がジャックされてる感じ。多様な意見を比較検討することが大切なのに、同じ人の主張が本屋さんの多くの面積を占めているのは危険なのではないかと思いました。
今はまだ読者の思考力、判断力の水準が全体として低いために、嘘八百の本や論理が破綻している本など、おかしな本でも売れてしまって、いっぱい出せてしまう、という現象が起こっているのではないかと思います。読者のほうが賢くなって、情報の真偽が判断できるようになれば、「いっぱい本を出している人」=「すごい人」になるはず。みんな本当はきっといい頭を持っているんだから、使わなきゃ。自分の頭で考える人を増やしたいです。