20141129

共創する世界へ

【旧暦神在月七日 月齢 5.6 小雪 朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)】

先日、ひさびさにスポーツの試合を見た。夕食を食べに入った店でテレビがついていて、たまたまかかっていたのがアメリカ対日本の野球の試合だった。

どちらのチームの選手も、初めて見た人たちだったのに、なぜか日本を応援してしまう自分に気づき、怖くなった。国対抗のスポーツの試合はナショナリズムを助長しやすいのかもしれないと思った。相方は、日本人だからという理由で知らない人でも応援したくなるというようなことは思わないらしく、個人差はあるだろうが、大多数はどうなのだろうか。また、久々にアナウンスを聞いたが、選手の名前は呼び捨て、年齢まで大声で叫び、なんて失礼な人たちなのだろうと思った。応援するような温かい気持ちは全く感じられず、どちらが勝つかにただ興奮しているだけに見えて閉口だった。

オリンピックもワールドカップも、じつはあまり興味がない。どちらが勝つかなんて、興味がない。メダルの数なんてどうでもいい。選手同士がスポーツを通じて親交を深め、技を磨き合い、尊敬する選手から刺激や学びを得ることは素晴らしいことだ。一流の選手の試合後のコメントを読むと、きっとそのような気持ちで試合に臨んでいるのだろうなぁと想像する。

だが、観る側と報じる側は、親善とは逆の態度をとっていないだろうか。日本人のアナウンサーが、日本の選手の名前をけたたましく叫ぶのも、日本の新聞の多くで、日本人選手の活躍だけが強調されるのも、お互いの健闘を讃えるのではなく、同族の躍進を望む意識を焚きつけているように思える。観る側は自分がやらないから無責任に見ることができる。「敵」を叩いたり、日本人選手が勝てなかったからとあれがダメだった、これがダメだったと好き放題に批判をしたり、傍観者の言いたい放題な物言いには、それならお前がやってみろと言いたくなる。

戦ってどちらが強いか、どちらが上手かを、既成の基準に照らして決めるなんていうのは、さみしいことだ。お互いにそれぞれいいところは違う。それぞれのいいところを評価しあい、認め合い、お互いを高め合い、共にさらに高い芸術的世界を創造するほうが、楽しくて、よりよいものができていくのではないだろうか。オリンピックも世界大会も、競争ではなくて、共に創る共創の場になっていったらいいのになと思う。

20141127

コードスイッチング

【旧暦神在月五日 月齢 3.6 小雪 朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)

異なる言語を混ぜくちゃにして話すのは、長年、言語能力が低いからだとされてきた。大学の授業でそんな話を耳にした記憶がある。

また、言葉は文化だとも聞いた。この二つの意見は矛盾していないかと思っていた。

ある文化にしかないものを、別の文化の言葉で表す場合、表したいことを表せる表現がないこともあるはずだ。そういうときは混ぜるしかないのではないか。

日本語の中でさえもそうだ。秋田弁が母語の私は、秋田弁にしかない言葉を、東京弁に変換しても、結局しっくりこないことが多い。和歌山弁も話せるようになり、和歌山弁ならではの会話のリズムやスタイルが、東京弁に変換した途端にぎこちなくおもしろみがなくなり、出てくる発想が変わってくる。私と相方は和歌山弁で話すことが多いが、秋田弁が表す概念をお互いがよく知っている単語については、秋田弁を混ぜて話している。

英語も話す人と話していて、英語の概念で表したほうがしっくりくる場合や伝わるのが速い場合、英語を日本語に混ぜて話すことがある。翻訳の仕事もしているので、なるべく混ぜないほうが良いものかと自粛していたが、最近訳した英語のエッセイに、言語能力が高いほどコードスイッチング(異なる言語を混ぜて話すこと)をするというシンガポールの研究者の論文が紹介されていて、自主規制をやめることにした。

特に、男女について話すとき、日本語は不自由だと感じる。私は、wifeを「奥さん」「家内」、husbandを「旦那さん(=patron)」「ご主人(=master)」と言うのが嫌いだ。女だからって「奥」「家の内」にいるわけではなく、独立した意志を持った個人である。男だからって他の家族を従える「主人(=master)」や経済的に援助する「旦那(=patron)」ではない。そんな男尊女卑の古い考えを反映しているものはぶち壊してしまいたい。一人一人の人間が自分自身のmasterであり、自由であると同時にそれぞれに責任があり、お互いの意志にもとづいてお互いを大切にし、協力し、家庭を運営していく。それが本来の人間の在り方ではないだろうか(これについては過去にも書いている*1*2)。嫌いなのに、それ以外に適当な日本語がないから、名前を知らない夫婦について話すとき、女性のほうを示したいときは「奥さん」、男性のほうを示したいときは「旦那さん」と言わなければならない。そのたびに「負けた」というくやしい思いをする。

自分たちのことを話すときは、「パートナー」「相方」「連れ合い」などの表現を試しに使ってみている。かつて「友だち」と言っていたこともあったが、「それカレシでしょ(なんで言わないの)」とヒンシュクを買ったことがあってやめた。「連れ合い」は、ときに年相応でないと失笑され、パートナーも遠回しに聞こえるようで「カレシ?」「ダンナ?」と聞かれることもあり、結局「相方」に落ち着いた。

こういう違和感を持っている人は私たちだけではないようで、山暮らしの本を書いている男性も著書のなかで「相方」と呼んでいるし、古くて新しい暮らしを提案している男性も著書の中で「同居人」をいかに愛しているかを書いていた。「相方」と言う人がまわりで少しずつ増えてきているような気もしている。LGBTの人たちもパートナーのことを「相方さん」「パートナー」と呼ぶと聞いて、性差がない状態ではやはりそういう表現に落ち着くのかと、おもしろく思った。

「カレシ?」「ダンナ?」と聞かれるたびに思うが、日本語では婚姻関係まで明らかにしなければ単語が定まらず、多くの日本人は落ち着かないないようだ。そして説明しても理解されにくい。東京と秋田では経験がないが、移住先の西日本では子どもがいるかどうかまで聞かれることも多い。いる場合には、私は「お母さん」、相方は「お父さん」と呼称が変わるのだろう。

今年は議会でのセクハラ、マタハラが明るみに出たが、日本語自体がセクハラでマタハラな言語かもしれないとさえ思う。私は相方といると決まって「奥さん」と呼ばれる。面倒なのでいちいち訂正しないが、名前を言わないといけなくなると、「えっ、結婚していないんですか!?」と驚かれ、「ご予定は?」などと言われて煩わしい。きちんとしていない不真面目な恋人どうしのように思う人もいるようだ。契約などのお墨付きがなければ、絆の強さがわからないほど目が節穴なのだろう。腹が立つが捨て置くことにしている。

言葉が文化の表れであるならば、言葉には文化を変えていく力がある。違和感のある文化の言葉をそのまま使うのではなく、よりしっくりくる表現を他の言語から借用するなり、作り出すなりして、新しい表現を作っていけば、おかしな慣習だって、おかしな考え方だって変えていけるのではないだろうか。言葉への違和感をそのままにせずに、自分がしっくりくる言葉を使っていけば、おかしなものに染まらずに自分をしっかり保てるのではないだろうか。逆に言えば、言葉のもつ概念や背景、ニュアンスをよく考えずに使っていると、固定観念に流され、思考が疎かになっていくのではないだろうか。どういう言葉を使うかをよく考えていくことは社会の問題や生き方を考えていくことにもつながっていく。そんな気がしている。

20141123

Go Vote? or Go War?

【旧暦神在月二日 月齢 0.6 小雪 虹蔵不見(にじかくれてみえず)


脱戦争ポスター展より

安倍首相のことは別に嫌いじゃない。「アベちゃん」と呼びたくなるくらい、なんだか親しみを感じてしまう。やっていることは許せないが、「だじゃぐわらし」(秋田弁で思い通りにならないと暴れるわがままでかんしゃく持ちの子どものこと)みたいでめんこくもある。G20で各国首脳から敬遠されて、一人寂しそうに自分のコップにお水を自分で注ぐ様子なんて、すねた子どもみたいでそれだけでもかわいそうなのに、ネットでバカにされているのを見たら、いたたまれない気持ちになってしまった(なので敢えて写真は載せない)。

きっとただの人に戻ったら、悪いやつじゃないのだと思う。でもおぼっちゃまで甘やかされて育って打たれ弱いのだと想像する。それで、うまく利用されてしまうのだと思うし、すぐ調子に乗ってしまう。長きに巻かれ、権力者になびき続けて、頭ももしかしたらあまりよく使ってこなかったのかもしれない。法律をつくる人のトップなのに、憲法のこともわかっていない。法律が専門でない私でさえ、中学校の時に習った衆議院の解散の条件くらい覚えている。内閣不信任決議案が可決されたときと、内閣信任決議案が否決されたとき以外に解散はできないはずだ。なんで解散できるのか、なんでこんな身勝手な解散が許されるのか謎すぎる。森田実さんも憲法違反だと指摘している。

●政治評論家・森田実氏が緊急寄稿「大義なき解散は憲法違反」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/155128

政権公約というのも、アベちゃんはあんまりわかっていないみたいだ。約束を守るということくらいは、私にもできるし、守れなくなったら、ちゃんと理由を説明して、守らなくてもいいかどうか約束した相手に聞いてみる。2012年12月の衆議院選挙で掲げていた公約で、平気で破ったものがいっぱいある。しかも説明がない。ささいなことでもないのに、みんなの暮らしに関わることなのに大きな嘘をついてしれっとしている。

●自民公約 次々変質 秘密法:記述なし→制定、TPP:反対→参加(東京新聞11.19)

非戦音楽人会議さんからのウォールから

赤ペン先生みたいに採点してくれている人もいた。

真実を探すブログより

アベちゃんがキャラ的にいくらめんこくても、これにはさすがに憤慨している。よくみんな怒らないで、黙っていられるなぁと思う。憎めないキャラだからなのか。

衆議院の選挙をするには、私たちの税金が約700億円つぎ込まれるそうだ。アベノミクスが失敗して、やけくそになったのか知らないが、もっといいことに使ってくれと言いたくなる。安倍政権の延命のための解散などと言われているが、そんなことのために700億円なんてたまったもんじゃない。朝日新聞によると、東京駅の復元工事が500億円だったという。

●衆院選の費用700億円、高い?安い? 他の用途なら…(朝日新聞11月20日)
http://www.asahi.com/articles/photo/AS20141119004681.html

そんなことを言われてもあまりピンと来ないが、被災地の除染だったらどのくらいできるのだろう? 子どもたちに保育園はどのくらい建てられるのだろう? ハウスレスの人々が安心して休める住宅はどれくらい建てられるのだろう?

もう決まってしまったものは仕方がない。自分たちが納めた税金が700億円も使われるなら、選挙に行かなければ払い損だ。どうせやるんだったら、少しでも、多くの人々にとって良い社会だと自分が思える状態に近づくような結果にしたいものだ。最初から諦めていては、スクラッチを買ったのに削らず捨てるようなものだ。不謹慎な例で申し訳ないが。

棄権すれば、自分の意見が全く反映されないところで、税制をはじめ、好き放題にされてしまう。暮らしは悪化するばかりだ。これを見てみてほしい。携帯電話税に死亡消費税なんてシロモノまで自民党は検討している。経済的徴兵制なんてのもある。アベノミクスで格差が進み、生活が苦しくて奨学金が返せなくなった人が徴兵されるというシステムだ。これをみなさんはどう考えるだろうか?私には許せない。

山本太郎さん(参議院議員)ウェブサイトより

上記の続き
戦争に行くのと、投票に行くのとどちらがいいかと聞かれたら、私なら絶対投票だ。大げさだと思われるかもしれないが、秘密保護法(戦前の治安維持法みたいなもの)に集団的自衛権(超ざっくりだがアメリカとグルになって人殺しをしていいよってこと)の解釈変更など、今の政府はちゃくちゃくと戦争をできる国づくりを進めている。私は男ではないので、戦争に行く可能性は低いが、戦争は大嫌いだし、自分の子どもを戦争に行かせたくない。自衛隊にいる友だちもいる。彼のことを戦争に行かせたくない。だからより平和的な民主的な文民的な手段で主張を続ける。

こんなことを書いていると、決まっていつもの仮想敵がやってくる。嫌われるかもしれない。疎まれるかもしれない。あいつ何熱くなってんだよ、バカじゃねーのとおかしく思われるかもしれない。でも嫌われてもバカにされても、より生きやすい未来のためにできることはやったほうがいいと思っている。

世のため、人のためというよりも、私は自分のためなのだ。生活は楽なほうがいい。税金は少ないほうがいいに決まってる。税金は人助けや弱者のサポート、持続可能な社会のために使ってほしい。福島にいる友だちの子どもたちに健康にのびのび笑って育ってほしい。家業の農業を守りたい。おいしくて安全な食べ物が食べたい。平和も環境も守りたい。などなど、自分の願いが叶ってほしいというだけで、極めて利己的な動機だ。そんなことをしてもちっぽけなことだと笑われるかもしれない。でも、一個人の行動の積み重ねが世の中を作っているのだと私は思う。

最後にもう一度、しつこいようだが、衆議院選挙には私たちの税金が700億円つぎ込まれる。安倍政権が誕生した2012年衆議院選挙の投票率は59.32%と過去最低だった。その結果、迎えているのが今だ。消費税は8%に上がり、格差は広がり、戦争ができる日本になろうとしている。アベノミクスとやらの効果も無残な結果だ。浜矩子氏は初めから「アホノミクス」とばっさりだったが、その通りになった。もっと多くの人が投票に行って意志を示せば、この状況を変えることができる。

●総選挙事務700億円 貴重な一票忘れずに
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014112202000106.html

選挙までに整理していきたいことのメモ。
-- アベノミクスが残したもの
-- 立候補者のうち、原発推進議員と秘密保護法案に賛成した議員
-- 結果がどうなればアベちゃんの暴走を止められるのか
-- 今回の衆議院選挙の自分にとっての論点(“争点”にあらず)

〈過去に書いた同種の記事〉
--選挙と私
--柵がない者の役割

20141119

アマルガムのその後の話

【旧暦閏月廿七日 月齢 26.2 霜降 金盞香(きんせんかさく)】

*English edition below*--アマルガムのその後の話です。アマルガムは、水銀を含む歯の詰め物のことです(健康と環境への悪影響や各国の禁止状況については過去の記事をご覧ください)。

自然派の人々がおすすめされていたので(その人たちは悪くないのです。アマルガムのことは知らなかったのだと思うので。「アマルガム ◯◯歯科」で調べて見なかった私が悪い (-_-; )、マクロビオティック(正食、食養とも)を提唱している歯医者さんを相方が受診したら、詰め物はアマルガムしか使わないと言われ、アマルガムの危険性について、次の受診時に説得してみようと、情報を集めた話を先日の記事で書きました(コチラ→アマルガムにうなされる)。

クーヨンなどの自然派の雑誌にも書かれている歯医者さんで、講演もされているので、全国から患者さんが来ているそうです。アマルガムしかないことがわかっていたら、絶対に受診しませんでした。保険がきかなくて、初診料が3万円台後半もします。歯医者さんの名前は出せませんけれど、この記事が私たちみたいな人で受診を検討している人の目に止まり、判断材料の1つになることを願って、ことの顛末を書きたいと思います。

結局、説得はできなかったそうですが、一応議論にはなったそう。いや~、でもひどすぎて、久々にはらわたが煮えくり返りました。

相手の言い分は、玄米を食べて、砂糖をやめれば、問題ないの一点張りです。水銀が危なくないとは言わなかったみたいですが。

口の中でずっと水銀を出し続けるのに、口の中でずっと電磁波のアンテナになって身体に不調をきたすのに、玄米を食べてれば大丈夫って、そんなアホな…。 

友人が、アメリカでもアマルガムが規制されるというニュースを教えてくれて、国際条約の水俣条約を受けて日本も日本歯科医師会がアマルガムの廃絶に取り組むと宣言していることを伝えたところ、「研究者の言うことなんて信用ならん」とアタマから否定。否定するからには、論拠を示してほしいのですが、ないから言えないのでしょう。水銀が大丈夫だというのは誰の言うことを信用してのことなのでしょうか。

内海聡さんという現代医療に疑問を投げかけるお医者さんの本を、その歯医者さんも持っていたそうです。その本にも「アマルガムは毒」とはっきり書かれているのですが、都合の悪い話は無視なんですかね(内海さんがアマルガムについて触れられているFBの投稿その1その2。同じような内容が本にも書かれていました)。

アマルガムが危ないと言われたのは10年ほど前のこと。もう日本にはアマルガムの在庫がないそうで、その歯医者さんはわざわざオーストラリアから輸入しているそうです(なんで、そんな危ないもん輸入してんねん!)。

前の投稿でも書きましたが、この歯医者さん、食事療法も含めた独自の診療をしているため、保険がききません。院長先生が担当する場合は1時間あたり2万円、歯科衛生士さんが担当する場合は1時間あたり1万円だそう。簡単な治療でも難しい治療でも一律で時給計算って、個人的には法外な感じがします。保険の効く普通の歯医者さんよりも安全なもので治療してくれるならそれもわかりますが、アマルガムを使う普通より危ない治療なのに、トータルで60万近くかかるという見積もりを出されました。

アマルガムが身体に悪いことはこれだけ自明のこととなっているし、それを知っているからには口の中に入れたいわけがありません。代替策が一般的になっている現代なのに。イヤだと言っているのに、「入れてみてから考えては?」と言われたそうです。私からすれば無責任としか言いようがありません。あなたに高いお金を払って、そんなに身体に悪いものを悪いとわかっていながら口の中に入れるバカがどこにいると思っているのでしょうか。しかも、もしやっぱりダメだったら、また高いお金を、身体に毒を入れた張本人に払って、とってもらわないといけない。もはやブラックコメディのよう。

しかも、その歯医者さんでは、アマルガムを詰めた後、ヤスリで磨いて表面をツルツルにするとのこと。そんなことをしたら飛び散った水銀を飲み込んでしまいます。下手な歯医者でアマルガムを除去しようとして、飛び散った水銀を飲み込んでしまい、身体中に激痛が走ってのたうち回った事例を映像で見たことがあるので、ぞっっとしました。

しまいには「そんなこと言って、あなた虫歯10本もあるじゃないの!」と、弱みにつけこんで発言権を奪おうとする始末。水銀が身体に悪いことと、それでも彼らが水銀を使い続ける理由と、相方に虫歯があるということには全く因果関係がありません。論理が破綻しています。

カルテに挟まれていた説明には、「水銀よりも砂糖のほうが何万倍も身体に悪い」と書かれていました。だれの研究結果なのかも、どう実験したのかも、どういうデータに基いているのかも、まったくなし。あるのは一方的な主張だけです。論理思考の基本である「主張―理由付け―証拠(具体例)」のピラミッド構造がまったくありません。

そもそも、何について水銀と砂糖を比べているのかも不明です。何万倍と言うからには、例えば、水銀を摂取した場合と砂糖を摂取した場合とでガンの発生率を比べるなど、同じものについて数値がなければいけないはずですが。砂糖を目の敵にして、玄米を無条件に良いものとするその姿勢は、他の考え方を認めず、唯一神のみを絶対とする原理主義者に重なるものがあります。

その次のページには、その歯医者さんが強度が弱いから使わないと主張するレジン(樹脂)を埋めた歯で虫歯が再発した恐ろしい写真が何枚も載っていて、「ね、アマルガムのほうがいいでしょ?」と言わんばかり。同じ条件下で、アマルガムについては再発率を調べたのでしょうか。頑丈だとおっしゃるアマルガムだって「3年以内に劣化の兆候が表れ、10年後には平均で総重量の約73%が減少する」と言われていますし、身近な例で言えば、うちの父はアマルガムの下で虫歯が再発しています。

いくらマクロビを提唱しているにしても、アマルガムの危険性もフッ素の危険性(ここではフッ素も使うそう)も勉強していないなんて、歯医者という本業をおろそかにしているように思います。こう言っては失礼でしょうけれども、玄米を圧力鍋や炊飯器で炊いてもよいと教えているなど、マクロビを仕事にしている私の友人知人たちより理解がずっと浅く、レベルははるかに下に思えます。歯医者という本業はおろそかで、マクロビもそこまでなのに、私の友人知人たちよりも高いお金をとるなんて許せないと思いました。若杉ばあちゃんも言っていますが、食養で金儲けしようなんてとんでもない。毎日の暮らしで食養を実践している一人として、そう思います。

そもそも、医者の役割というのは、なるべく患者の意向に沿って、患者が治るのをサポートすることだと思います。専門知識をもとに患者に情報を与え、患者がよりよい判断をできるようにするのが良い医者であり、患者の意向を無視して自分のやり方を押し通そうとするなんて傲慢です。

その先生の指導のおかげで玄米で元気になった人がいっぱいいるとおっしゃるのですが、「治してやった」という上から目線な物言いは間違っていると思います。お米を作ったのは彼ではありません。偉いのはお米を作った農家さんだし、そういう身体にいい自然のお米を作っている農家さんは決まって、お米が偉い、自然が偉いと言うものです。不可能と言われるりんごの無農薬栽培を成功させた木村秋則さんも、「あなたの腕にきゅうり一本成らせることができますか?あなたが作っているのではない。きゅうりがきゅうりを作っているのです」と、おごり高ぶる人間を諭しています。

教訓としては、知識と論理的に考える力は自分を守ることにもなるし、人を助けることにもなると思いました。これだけ社会毒があふれている今の時代、これらがなければ簡単に毒漬けになってしまいます。受診してしまってから見つけたのですが、アマルガムについてその歯医者さんのブログで質問していた人がいました。その人はあっさり引き下がって信じてしまっていました。知識と調べる力が足りなかったのか、それとも、穏便に済ませるためにお茶を濁したのかはわかりません。おかしいことはおかしいと主張しなければ、被害者が増えるばかりだと思いました。

お医者さんについては、自然派やホリスティックなお医者さんも、普通のお医者さんも、同じくらい警戒して慎重に調べたほうがよいと思いました。特に、代替医療などはまだ走りですし、流行りにのってマーケティング的に使っているお医者さんにも当たってしまったことがあります。

それから、英語が読めてよかった!と思いました。日本語だけだと、日本の中のことしかわかりませんが、英語が読めると世界中から情報が集められるので、例えば、日本で安全と言われていても、海外では危ないというのが常識になっていることなども知ることができます。日本で公開されていないのに、アメリカでは公開されている重大な文書を読めてしまったり。殺されないようにするために必要な力だと思いました。

This post is about a debate my partner had over the health risk of dental amalgum with a dental clinic which calls itself "natural dental clinic". (Several friends who do macrobiotics and love natural lifestyles recommend this clinic.) Studies around the world say dental amalgum, consisted with mercury up to 50%, is highly harmful for health.
i.e.) http://www.biomedcentral.com/content/pdf/1745-6673-6-2.pdf
Some countries, including Sweden, have banned or restricted the use of it.

The dentist advises its patients to avoid chemicals in food such as additives, pesticides, and refined sugar, so it was the last thing I expected that such a macrobiotic dentist uses such a dangerous metal, now that the alternative material, composite resin, is more common in Japan. Though they were quite illogical and my partner refuted all their claims with enough data and studies, they never agreed.

The lessons are that English gives me larger domain to find important information to survive than Japanese, and that enough knowledge and good logical thinking are necessary to survive or live better in this society full of invisible toxic substances. Of course, we decided never to see that dentist again.

20141117

被害妄想

【旧暦閏月廿五日 月齢 24.2 霜降 金盞香(きんせんかさく)】

*English edition below*--昨夜開票された沖縄知事選挙、那覇市長選挙、松戸市議会議員選挙。結果が気になって、昨夜は珍しく夜更かしをして、0時すぎまでハラハラしながらパソコン仕事をしていた。

結果は、沖縄知事選挙も那覇市長選挙も、辺野古への米軍基地移設に反対する候補が、自民・公明が推薦する基地推進派の現職を退けて、当選した(参照12)。私はジュゴンの住む沖縄の美しい海を守りたいという願いもあって(参照)、移設反対を掲げる候補に当選してほしいと願っていた。また、フェイスブックで知り合った沖縄に住む友人や、沖縄にいる尊敬する活動家たちが、一生懸命訴えているのを見て、私たちの願いがどうか叶いますようにと思っていた。

松戸市議会議員選挙は、去年の衆議院選挙のときに三宅洋平さんの応援でがんばられていたラッパーのDELIさんが立候補していて、脱被ばくを掲げているのを知り、心から応援していた。脱被ばくを掲げるもう1人の候補増田かおるさんとともに当選して、本当にうれしかった(参照)。

当確が出た瞬間、フェイスブックでつながっている人たちやフォローしている人たちがわーっと喜びを共有した。会ったことはないけれど、脱被ばく、平和、環境保護など、願いを共有する人々が、喜びをシェアしていて、ワールドカップやオリンピックほどの派手さではないけれど、サポーターのような感覚を味わった。

政治の話は日本ではとてもしにくい。直接だれかに文句を言われたわけでもないし、やや陰湿なことをされたのも1度だけだし(と言っても相手の苦しみの表れであって、私自身は少し凹んだくらいで今はまったく気にしていない)、応援してくれる人もいるのだが、妙な圧力を感じる。「知ったかぶりして」「偉そうに」「専門家気取りかよ」とか、「政治の話をするやつはウザイ」とか、「1人で騒いでばかじゃないの?」とか、たぶん、被害妄想なのだけど、そういうふうに思われていたらどうしようという恐れを持ってしまって、なかなか言い出しづらい。そういう被害妄想を抱いてしまうのは自分だけだろうか。みんなはどんなふうに克服しているのだろう。

スポーツの話をするみたいに、応援している自分たちの代弁者のことを、もっと語りやすくなれたらいいなぁと思う。スポーツ観戦では、どっちが勝っても自分や自分の子どもたちの未来が特に変わるわけではない。政治は、自分がどんな社会を望むのか、自分の払っている税金をどんなことに使いたいか、税金の制度をどういうふうにしたいか、その意見を代弁してくれる代表者を選ぶ機会だから、その成り行きは自分と自分の人生に影響を与える。消費税の税率は身近な例だし、労働に関する法律や税金の優遇制度なども働き方に大きく影響を与える。

自分に関わりのある物事だから、もっと気軽に語りあえたら、きっと良い世の中になると思う。今のところ、金銭的な得のある人々だけが熱心に政治の話をするから、その人たちにとって都合のよい政治状況になっているのではないだろうか。アタマではわかっていても、その被害妄想から抜け出すのはなかなか難しい。ガンディーの名言「見たいと思う世界の変化にあなたがなりなさい」を胸に、まずは自分から政治の話を気軽にしてみようと思っている。

Opponents to US base relocation to Henoko, where rare dugongs swim, were elected to Okinawa governor and Naha city mayor.
For details: BBC news "US base opponent wins Okinawa governor poll"
http://www.bbc.com/news/world-asia-30074445

Following the great news, in Matsudo city council election, votors chose two candidates speaking out for protection of children from radioactive contamination, DELI, male rap musician, and Kaoru Masuda.

Japanese people, unlike westerners, rarely talk about political issues such as election. There's pressure that prevents us from talking more freely, and I often feel it hard to and hesitate to speak out. No one has attacked me when I take up the issue on SNS and my blog, so it might be just my paranoia. It would be nice if we can talk about our political views(to put it more simply, what we hope for our society to be) casually, since it affects the future of us and our children's generation. Mahatoma Gandi's famous quotes “Be the change that you wish to see in the world” always gives me an encouraging push.

20141106

心を許せる人にほど

【旧暦閏月十四日 月齢 13.2 霜降 楓蔦黄(もみじつたきばむ

世間知らずと笑われるかもしれないが、初めて友人の結婚式に出たとき、親や身内が末席で、辞めた会社の重役が特等席なのに驚いた。ずっと会っていなかった私なんかが、誰よりも長い間子どもを大切にしてきたご両親よりも、新郎新婦に近くの席で申し訳なく落ち着かなかった。

なんで一番力になってくれているご両親やじいちゃんばあちゃん、親友たちに一番良く見えてお話できる席に座ってもらわないんだろう、一番感謝を伝えるべき人たちじゃないの?と思ったが、その後、何度か出席しているうちに、身内ほど末席に、仕事関係ほどいい席にというのが常識なのかとわかってきた。

近しいほどいつでも会えるから、という遠慮なのかもしれない。それは美しい心遣いだなぁとも思うのだが、なんだかしっくり来ない。

これから先も、困ったときに一番力になってくれるのは、家族や親しい友人たちだろう。それまでもそうだったに違いない。生涯勤めるかもわからない会社の偉いさんが、困ったときに何かしてくれるんだろうか。そもそも、席順という誰の目にも明らかな形で人間に格差をつけるのは嫌いだ。

日本人は、普段の生活でも、親しい人ほど蔑ろにしがちに思える。親しい人を大切にする人を中国的だとバカにする日本人にも会ったことがある。

付き合いの浅いうちは気を使ったり、言動に注意したり、相手の気持ちを理解しようとたくさん想像を巡らせたりするものだ。仲を深めようと会う回数や連絡を多くしようと努める。

仲が良くなるにつれて、安心して、気を使わなくなったり、うっかり失礼なことを言ってしまったりすることもある。

あまり気を使われると水くさく感じたりもする。地が出るというか、素を見せてもらうとうれしかったりもする。

かと言って、おざなりにされたり、バカにされたり、無理な頼みをナメた調子で言われたりすると悲しいし、会う優先順位を低くされたり、連絡が途絶えたりすると寂しいものだ。

私は友だちが少ないから、会う優先順位で悩むことはまずないが、たまに重なりそうになるときには、心を許せる人順にしたいと思っている。

日本的なウチソトの感覚からはかなりずれているだろう。でも、大事にすべきなのは、自分を大事にしてくれる人たちだと思う。いつもそばにいて支えてくれる人たちを後回しにしたり、自分の頭や時間などのリソース配分を少なくしたりするのは、大切にしてくれる気持ちをすり減らしていくのではないだろうか。

いつも誰に対してもリスペクトして、誠実でいられたら、そんなことは考えなくてもよいのかもしれない。今のところは、使える気や想像力や体力、時間やお金などのキャパシティが限られていて、それが難しいのだが、なるべくそうありたいものだ。

20141101

アマルガムにうなされる

【旧暦閏月九日 月齢 8.2 霜降 霎時施こさめときどきふる

盲点でした。

相方が東京の歯医者さんで治療していた虫歯。治療の途中で地方へ移住してきてしまったのですが、特に痛むこともないので、放置していました。痛まないからと調子に乗って砂糖を食べ続けていたら、ついにまた痛み出してしまい、歯医者さんで診てもらうことになりました。

移住先で自然派の人々がオススメされていた歯医者さんがあり、なるべく抜かない・削らないがモットーで、食養も含めた根本治療をされているようだったので、保険が効かないのですが、そこへ行ってみることにしました。

が、しかし…。相方がしょげてげっそりして帰ってきました。何があったのかと思ったら、詰め物にはアマルガム(水銀50%+銀35%・スズ9%・銅6%・亜鉛少々の合金)、しか使わないとのこと。

理由は?と聞くと、アマルガム(銀歯)のほうがレジン(樹脂)よりも頑丈だから、ということらしく、電磁波のアンテナになるから入れたくないと言ったら、毒は玄米で排出できるから、というようなことを言われたそうです。

「論点すり替わってるやん! 出せるって、そういう問題か?? 原則的には危険性が指摘されているものは身体に入れない、やむをえない場合のみ排出方法を考えるってのが大前提やないん? 玄米食べたら出せるってそんな簡単に済むんやったら、農薬だろうが添加物だろうが何を身体に入れても玄米食べときゃええっちゅうことやないか。食べ物の化学物質はあかんゆうてんのに。そもそも重金属がずっと歯にひっついとんのに玄米で出せるわけないやんか!」と突っ込みたくなりました。。。

自然育児系の雑誌(たしかクーヨン)にも取り上げられていたので、まさかアマルガムを使うとは夢にも思わず、この歯医者さんのサイトでは検索してみなかったのです・・・。そもそも、最近では歯の詰め物にレジンを使うところが多くなり、セラミックもあるこのご時世に、アマルガムなんて言葉すら思い出しもしませんでした。自然派の歯医者さんでアマルガムなんて言葉を久々に聞くなんて「まさか!」以外の言葉が浮かびません。。。完全に盲点でした。

レジンも何でできているかよくわからないけど、ほかに選択肢がないならアマルガムよりはマシだと思います。アマルガムは、電磁波を集めるアンテナとして働き、電磁波過敏症の原因になると言われています。証拠をと調べていたら、アマルガムを除去して、電磁波過敏症が改善した様子を映した動画もありました。

また、昨年、仕事関係で「水俣条約」について知る機会がありました。この条約は、水俣病を教訓として、国際社会が人体と環境に悪影響がある水銀の使用を段階的に減らしていくことで合意したものです。ピンときて「よかったなぁ、これでアマルガムもなくなるのでは?」と思っていたら、やっぱり使用削減対象物のリストに歯科用アマルガムも含まれていました(参照→環境省「水銀に関する水俣条約」の概要)。死んで火葬されるときに、アマルガムの水銀が気体となって放出されて、後の世代に水銀汚染を残してしまうという問題は、水俣条約関連のことを調べていて初めて知りました。死んでからまで迷惑をかけたくないなぁと思いました。

アマルガムに含まれる水銀は口の中で食べ物を噛むたびに水銀が少しずつ蒸発して、水銀の蒸気を吸い込んでいるという研究報告もあり、口の中で水銀がイオン化しているかどうかを調べてくれる歯医者さんもあります。頑丈と言われていますが、3年以内に劣化の兆候が出てきて、10年後には平均で総重量の約73%が減少するという研究報告もあります。水銀は神経毒なので、さまざまな病気や身体の不具合の原因になることがあり、アメリカでは自閉症の原因になったとして訴訟がたくさん起こっているようですし(関連記事(英語))、スウェーデンでは2008年に使用が全面的に禁止されています。ほかには、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、イギリス、カナダでも使用が制限されているという情報も出てきました。

今回は検査だけで、2週間後に治療計画の話し合いをしてから治療開始になるので、まだアマルガムを詰められたわけではありません。よく話を聞いてくれて、治療計画もきちんと相談して納得の上で進めてくれる歯医者さんなので、説得してみようとは思うのですが、どうしてもアマルガム以外はできないと言われたら、他の歯医者さんに行くしかないなぁと思っています。自分で知る分には、直感的にアカン、だけで充分なのですが、安全だと思っている人を説得するとなると、材料をしっかり集めないといけません。おかげで詳しくはなりましたが、夢でまでアマルガムにうなされました・・・。

今回のことは、たとえ専門家であっても、完全に人任せにしては身を守れないという教訓になりました。それから、両親に感謝したくなりました。私の両親は、「チョコレートは食べるな!」「砂糖食べたらすぐ歯磨きしろ!」「よく噛め!」と耳にタコができるほど口うるさく言ってくれたので、私は虫歯がなく育ち、おかげでアマルガムなんてものには無縁でした。大人になって、磨きにくい親知らずの影に虫歯ができてしまったのが初めての虫歯で、その頃にはもうレジンが一般的になっていたので、私の歯には今もアマルガムはありません。電磁波にもやや敏感なほうですが、相方ほどではなく、厳しくしつけてくれた親に感謝したいです。

>>後日談:「アマルガムのその後の話

*ご参考*
ちょっと調べるとアマルガムの危険性についてはいろいろ出てきます。

◆歯の水銀がアトピー要因/アマルガム除去で確認(四国新聞2001/10/19)
http://www.shikoku-np.co.jp/national/life_topic/20011019000093

その不調「有害金属」が原因かも? 「解毒力」を高めよう(1)(日経ヘルス・フォーメン2011/9/2)

●PDF版:「幸せな人生を奪い去る水銀アマルガム」メアリー・デービス著/歯科用アマルガム水銀症候群支援協会(DAMS)デ・モイン支部刊)

●論文:Is dental amalgam safe for humans?(The opinion of the scientific committee of the European Commission Joachim Mutter)

アマルガムは安全だという主張もありましたが、出典がないものばかりで、信用できるものはありませんでした。その中には、危ないのは有機水銀で、アマルガムは無機水銀だから問題ないという論拠が多いのですが、これについて論文を引用しながら反論している動画がありました。簡単に言うと、無機水銀+大腸菌などの菌類→有機水銀になるという研究論文(「水銀の化学形態変化と生物活動」)があるそうです。