20151225

「反貧困の学校」と「反貧困の学校2」を読んで〈その3〉―ジェンダーと労働問題

【旧暦霜月十五日 冬至 乃東生(だいとうしょうず[=なつかれくさがはえる])

主に第2巻のほうの「反貧困の学校2」を読んで思ったこと。

男が一家の大黒柱として、女と子どもを養い、女は子どもと高齢者の面倒を見る。男は一家を養うだけの給料を、会社で稼いでくるもの。男が主、女は従、という、この古くさい役割分担=ジェンダー意識が、労働問題のかなりの部分に悪影響を与えていると思いました。

実際にそう指摘もされていて、「ご主人が・・」と発言した人に、別の発言者が「主人って言わないで」とたしなめるシーンもありました。

女は「お嫁さん」になって、男に養ってもらえるから、女の労働は補助的なものという考えから、簡単に首が切れる、賃金は安くていい、という派遣労働や臨時雇用という形態が生まれています。

儲けを増やすには、材料費を削るか、賃金を削るか。賃金のほうが削りがいがある。ということで、男性にも、この、簡単に首が切れて、賃金が安い労働がスライドしてきてしまった。

家庭内暴力(DV)や、児童虐待、セクハラ、マタハラも、もとをたどれば、こういうジェンダー意識が大きな原因の一つになっています。

女だって一人で自分を養っていることもあるのに、家計の補助的な人用につくられた賃金で、どうやって暮らせるというのでしょう。

男の人も、この考え方に苦しんでいます。脱却した人は幸せです。まだ囚われている人は、ブラック企業だろうがなんだろうが、泣き言を言わずに妻子を養う、それが男だ、みたいな。だから過労死しちゃう。

妻子を養えないなんてかっこ悪くて言えない、と思った男性が、派遣切りにあって、給料を持ってこれないからと、こっそりサラ金を借りていて、妻にそれが言えなくて隠していて、サラ金の督促がきて、妻に問いただされ、逆上してDVになって離婚に至った事例も本に出ていました。

古くさい男女の役割分担の固定観念から生まれている悲劇。さっさと脱却したらハッピーだと思う。男性も、女性も。

うちでは、主人とも旦那とも呼ばないし、嫁とも家内とも呼ばない。主従関係でなく、対等なパートナーなので、相手ものびのびと望むことをして、才能を活かし、能力を伸ばし、人に喜ばれる仕事をしています。

私も好きなことをして働いていて、相手が困った!というときは私が金銭的に助けたこともありますが、情けないなんてまったく思わないし、まわりからとやかく言われても、頓着しません。私も困ったときは相手に助けてもらってるし、お互いさまです。

私が助けてもらうことを情けないっていう人はいないんです。それって、女だからでしょ? 男はなんで女に助けられちゃいけないの? 

それから、本には出てないけど、「女性活用」っていう言葉にも非常に違和感。活用ってモノじゃないんだから非常に失礼です。女性でさえ、この言葉を使いますね。自分のこと、もっと大切に考えてくださいと言いたい。

女性活用って、女は、子どもをいっぱい産んで、育てて、家事もして、介護もして、なおかつ、男並みに働け、ってことですよね。議員さんたち、それ、やってみてください。

当事者にしっかり話を聞いて、どういうサポートが必要か、どうしたら働きやすくなるだろうか、ということを考えないといけないと思います。

この古くさいジェンダー観がなくなれば、男の人も、家事や育児、介護も分担できるようになる。わけ合えば、適度な労力と時間で済むし、適度な労力と時間であれば、嫌なことじゃなくて、貴重な学びだと思えるんじゃないかと思うんです。

そうなったら、女性が国会に意見を届けることもしやすくなると思います。今の現状で、働きながら子育てもして、家事もして、と、会社勤めのお母さんたちはそれだけで手一杯で、社会活動、政治活動をする時間がないと思います。

それをいいことにおっさんたちは良からぬことを企んでいるので、立派でかっこいい紳士のみなさんは、お母たちの声が政治に反映されるように、サポートよろしくおねがいします。それは男性のためにもなることだと思います。

まずできることとしては、私はなるべく主従関係を示す、ジェンダー観を反映した言葉を使わないように気をつけたいと思います。なんで?って怪訝な顔をされることもあるのですが、そういうときはチャンスと考えて、ジェンダーとさまざまな問題の関連について、お伝えしていきたいと思っています。


【反貧困の学校 1&2】
反貧困の学校

反貧困の学校2

)関連記事:
・20151221 「反貧困の学校」と「反貧困の学校2」を読んで〈その1〉
・20151222 「反貧困の学校」と「反貧困の学校2」を読んで〈その2〉
・20140129 弱者のためにとことんやる

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