3.11が起こる前までは、政治には全く無関心だった。投票で政治が変えられるとも思っていなかった。大学生のときに、投票に行かないことで政治学の先生に悲しみと怒りに満ちた目で見つめられながら叱られても、投票に行かないことの意味はよくわからなかった。
でも、原発事故が起こって、「どうしてこういうことが起こっているんだろう?」と調べていくうちに、政治を動かしている議員にどういう人間がいるかが重要で、それを決めているのは投票する有権者(自分も含めて)だということがわかった。投票に行かないこと、政治や社会のことについてきちんと考えてこなかったことによって、原発の事故を起こすのに自分も少なからず加担していたのだと思うと悲しくなった。その後、沖縄の米軍基地問題、遺伝子組み換え作物、ダムなど、他の問題も原発の問題と同じ構造で起こっていることを知った。
今すぐ変わらなくても、じわじわとは変わる。爆笑問題の太田光さんが選挙なんか行かなくていいみたいなことを公言したのを忌野清志郎さんが読んで、太田さんに「政治に無関心でいいなんて言っていると、きみの息子なんかが戦争に行っちゃうわけよ」と言ったというエピソードがある。逆に言えば、関心を持って行動すれば、望まないことが実現してしまうのを少しでも遅らせることができ、行動する人が多ければ、望む世界をつくるのを早めることができる。
その行動の1つが投票で、ほとんど誰でもできること。投票先を決めるのは、そんなに時間のかかることではない。ネットで少し調べれば、5分もかからない。現状に満足しているなら、与党に投票すればいいし、今の与党は組織票がたくさんあるから投票に行かなくたっていい。現状に満足していないなら、野党を比較して検討する(市民連合のガイドブックがわかりやすい)。ちなみに、選出される議員が1人の32の選挙区の野党の統一候補一覧は、市民連合がまとめてくれている。
普段から情報を仕入れて、自分なりに考えるようにしていると、こういう候補者に投票したい、というのがはっきりしてきて、こうしたリサーチは特に必要がなくなる。普段からの情報収集は、たいへんなことではなく、むしろおもしろい。最近は、問題をあぶり出すだけではなく、解決の方向を向いて論考してくれているものが増えてきて、ますますおもしろくなってきた。無関心でいて自分が望まない世の中をつくるのに加勢するよりも、関心をもって自分が望む世の中をつくるのに加勢したほうがずっとおもしろい。
さっき、ほとんど誰でもと書いたが、お金持ちかそうでないか、男性かそうでないかにかかわらず、一定の年齢以上なら資格を停止されている人を除いて誰でも投票できるようになったのは、先人の長い闘いのおかげだ。
期日前投票をすでに済ませたが、山本太郎さんの立ち上げた「れいわ新選組」の街頭演説がとてもおもしろく、折を見て書き起こしを読んでいる。脳科学者の茂木健一郎さんや作家の島田雅彦さん、ギタリストのSUGIZOさんなど、さまざまな著名人もかけつけて応援演説をしていて、その書き起こしも読むことができ、それらを読むだけでもとても勉強になる。書き起こしはこちらの「活動レポート」のページから読める。
最後に島田雅彦さんの応援メッセージの中からこの言葉を引用して終わりたい。
国民は政治的無関心に誘導され、日本がどうなろうと知ったことかと思わされています。首相や閣僚、その不愉快な仲間たちがどんな不正を働いても国民は知らんぷりしてくれる、まさにそれこそ政府が望むところで、白紙委任状を受け取ったつもりでやりたい放題やってるのです。)関連記事
・・・〈中略〉・・・
私たちは大人なのだから、この不愉快極まる現状を変えなければなりません。私たちには良心の自由もあれば、恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利もあるのだから、今、それを使わずにいつ使うんですか? 早くしないとその自由と権利を奪われてしまいます。投票に行きましょう。現政権の横暴を止めるために、山本太郎に、れいわ新選組に、あるいは野党共闘の候補者に一票を投じましょう。
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