戦争をなくしたい、環境を守りたい、貧富の格差をなくしたい、原発をなくしたい、などと言っていると、「左翼」というカテゴリーにどうも入れられるらしいんだけど、私は自分のことを左翼だと思っていないので、どうも腑に落ちない。そもそも、「左翼とか右翼って何やねん!」と思っていたら、相方が、「図書館にこんな本あったでー」と借りてきました。
右翼と左翼はどうちがう? (14歳の世渡り術) |
文庫版もあります。
右翼と左翼はどうちがう? (河出文庫) |
曖昧なレッテル語で嫌いだけど、いわゆる「右翼」と呼ばれる人々の考え方や主張も知っておかないと、と思うけど、どれも手にとる気になれない…という話をちょうど、この前も書いたところでした。
雨宮さんは20代のときに、右翼の団体に所属していて、反米愛国の、拝金主義反対の運動をした後、団体をすんなりと脱退し(抜けるのは難しいと言われているが、すんなりと抜けられて、今も関係は良好なよう)、反貧困の運動をするようになり、「左翼」と呼ばれるようになった方で、「右翼」の世界も、「左翼」の世界にもつながりを持たれている珍しい方です。
どちらの世界のことにも精通されていて、生の情報だったので、観念的ではなく、リアルに伝わってきました。14歳の子どもにもわかるように、平易な言葉で、注釈つきで書かれているので、さらっと読めます。
雨宮さんは、「右翼」と「左翼」の活動家それぞれ3名ずつにインタビューもされていて、「右翼」の範疇にくくれないような幅広い活動をしているいいおっちゃんもいたし、同じ「右翼」「左翼」でもイシューごとに考えが全く違ったり、少し色合いが違ったり、また、「右翼」の方と「左翼」の方とで共通点もあったりしていて、やっぱり、「右翼」も「左翼」もないんじゃないのかなー、それぞれ、イシューごとにどういう考えを持っているか、で考えたほうがいいんじゃないのかなーと思いました。
「右翼」の方も、「左翼」の方も、どちらも、真剣によくよく考えていて、どっちも願っていることは、誰もが幸せに平和に尊厳を持って生きられる社会であって、その方法や、今その状態になっていない原因というものを違う角度で捉えているだけなんだと思いました。
右翼の方の「ネトウヨは歓迎しない」という意見も新鮮でした。ああいうのは、単に自分のストレスを発散しているだけで、自分の発言に責任を取らないから、という理由でした。「右翼」は今までものすごく遠い存在で、ヘイトスピーチをする人たちや、街宣車で恐ろしい歌をかけて走っていく人たちのイメージしかなかったのですが、本に登場した「右翼」の3人は、日本のこと、世界のことを真剣に考えていて、おもしろい人やな~!と思う人ばかりでした。「左翼」の人たちも、もう少し恐い人たちかと思っていたら、静かに、穏やかに、世界のことを深く突き詰めて考え、行動をしていて、すごいなぁと思いました。
世間一般の「右翼」「左翼」の定義もわかり、それぞれのおおまかな歴史や、リアルな中身もよくわかって、入門編にはとてもいい本でした。
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