20160901

「敵」のなかに味方を増やす

「◯◯(大手小売業)のオーガニックなんか信用できん」という意見を聞くことも多くなって、少し思うことを書きたいと思います。

『オーガニックラベルの裏側』という本も出ていて、オーガニックと謳っていても、実際のところは怪しいという話は、うん、そういうこともあるだろうなぁ、と思っています。

できれば、顔の見える関係で、この人なら信頼できるという人から、何でも必要なものを取り揃えたいところですが、なかなか、そうもいきません。我が家はそれでも、自給率が昔よりもだいぶ上がって、無農薬、無化学肥料、固定種が好きで、畑もしている友人たちが多いので、友産友消と自給自足の割合が増えていますが、世間一般となるともっと難しいのではないかと思います。

「◯◯(大手小売業)のオーガニックなんか信用できん」のほかにも、「◯◯でなんかあなたも当然買い物しないでしょ?」とか、「□□(コーヒー豆の倫理的調達の割合99%を達成した大手グローバルカフェチェーン)のコーヒーなんてぜんっぜんおいしくない」とか、大手企業への不信を抱いている人たちの気持ちもよくわかります。これまでにしてきたことを考えると、信用ならない面もあるからです。

しかし、そういうふうにして敵対しているだけでは、仲間は増えていかないとも思います。

大手企業の中にも、まごころのある人はきっといます。そういう人たちが、内部で孤軍奮闘しているかもしれないのです。利用者の健康や、生産に関わる人たちの幸せ、自然環境への配慮が足りなくても、「とにかく安く仕入れて、たくさん売り、利潤を多くするのが勝つということだ(ギラッ)」みたいな、古い考えにカチンコチンの人たちの中で、なんとか新しい風を起こそうともがいている人たちもいるかもしれません。異論を唱えることにかなりの勇気と努力が必要な場合も多いかもしれません。そういう中で奮闘している人を応援できるのは、消費者の私たちだと思います。

内部で奮闘するところまでは至っていないものの、話を聞けば、「それは大変だ!」と動いてくれる人もいるかもしれません。「お前らなんか信用してねえよ」という態度では、そういう人たちに話を聞いてもらうこともできないと思うのです。話せばわかると信じて、対話を重ねていくことで、相手が知らなかった事実を伝えることができれば、もしかすると、対応してくれるかもしれないし、「お客様が理解してくださらない」という思い込みが溶けていくかもしれません。

大多数の人々が大手企業の物やサービスを利用しているなかでは、大手が変わってくれると、影響力はかなり大きいのではないでしょうか。環境や倫理的調達、人権などへの意識の高い人たちが、幾多の不便を乗り越えて工夫をして、「お金で投票」をすることも尊いことで、インパクトもあると思います。それよりもやはり、大手が変わることのインパクトのほうが大きい。

近所のイオンでは、今年の春頃できたオーガニック化粧品コーナーに、フィリピンの人たちとフェアトレードで製品づくりに取り組むココウェルのリップクリームや、三宅商店でも扱っている北海道のミントのスプレー、「みんなでみらいを」の米ぬかとふすまだけでできた何でも洗える洗浄料、ナイアードのヘナなど、コアーな商品が並ぶようになったり、イオンの内部にも、私たちと感性の似たマニアックな人がいるようなのです。

そういう方々のことは応援して、これからも環境と社会に良い商品を増やして欲しいと思うので、お客様カードで「ありがとう!」を伝えたりもしています。「ありがとう!!」と合わせて、要望を伝えることもありますが、敬意を忘れずに丁寧に提案すると、前向きなお返事がもらえることも多いです。

たとえば、何度か無農薬・無化学肥料の野菜コーナーを作ってもらいたいという要望を出していたのですが、最近、ついにオーガニック農場のコーナーが野菜売り場にできました(農家さんの名前付き)。おそらく、イオン全体での取り組みだと思いますが、お客様カードはイオン全体で共有しているようなので、いろいろな他の人たちの声や団体の取り組みとの相乗効果で実現したのではないかと思います。小さな行動でも、少しでも貢献できたと思うとうれしいです。

それから、イオンの中のパン屋さんではコーヒーマシンでセルフコーヒーが飲めるのですが、イオンはオーガニックという言葉すら認知度が低かった時代からフェアトレードコーヒーに取り組んできたので、お客様カードで、そのことを感謝するとともに、フェアトレードのコーヒーが多少高くてもいいので選べるようにしてもらいたいとお願いを書いたら、全国会議で提案してみますというお返事をもらいました。すぐには難しいかもしれませんが、実現したらいいなぁ・・。

ほかにも、非遺伝子組換え飼料の低温殺菌牛乳を一種類でもいいので置いてもらえないかと、私が知っているメーカーさんを具体的に複数上げて選べるようにしてお願いしたところ、そのうちの1つをすぐに入れてくれていてびっくりしました。ほかの方がお客様カードで、子どもがアレルギーを持っているので、アレルギー対応コーナーを作って欲しいと丁寧にお願いをしていて、その数日後にはアレルギー対応コーナーの棚ができていて驚きました。

頼み方というのは大事だなぁとつくづく実感しました。いくら正しいことを言っていても、上から目線だったり、どうせお前なんかろくでなしだろう、みたいな態度だったりしたら、聞き入れてもらいにくいと思うので…。

正直なところ、イオンで買えるものが増えてきて、かなり楽になりました。これまでは、通販や遠くまで電車で買いに行ったりしていたのですが、「あ、あれがない!」と思ったときにぱっと自転車で買いにいけるのは、本当にありがたいです。イオンで見かけたから試してみようかな、と環境や社会によりよい選択をしてくれる人も増えるかもしれません。私の場合は、イオンで買えるようになったからといって、これまでお世話になっていた通販のお店や遠くのお店で買い物をしなくなったわけでもありません。

敵だと思っている相手の中に、どうやって味方を増やしていくのか。これからはそういうことも考えていかないといけないな、と思っています。それには、感謝とリスペクトが最も力になると思います。

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