20190611

すきなことばー「暮らしがしごと、しごとが暮らし」

「暮らしがしごと、しごとが暮らし」―山で自然に沿った暮らしをされながらちくちくしごとをされている作家の早川ユミさんが、パートナーのてっぺいさんの父でアーティストの小野セツローさんから贈られた、河井寛次郎さんの言葉だそうだ。雑誌『天然生活』に連載されている早川ユミさんのコラムのタイトルになっていて知り、たいへん素敵な言葉だと思った。

この言葉を聞いてから、お金になっていることが仕事だと思ってしまいがちだなあとたびたび反省する。お金をもらう仕事が重なるときは重なるものだが、ないときはぱったりないもので、「今日はなんにも仕事をしなかったな」という日には少し気持ちが焦ってしまう。お金をもらってする仕事がないときは、暮らしのしごとをていねいに楽しむようにしたい。

暮らしのしごとを自分の手でやっていくことで、アートが生まれたり、インスピレーションがわいたりして、それが人に喜んでもらえて、お金につながる仕事になる場合もある。自分が完全に満たされた状態で、自分の人生を愛することができていればこそ、本当に美しいものを生み出すことができる。いいものをつくりたかったら、暮らしを大切にすることは基本なんだと思う。

暮らしを気持ちよく、心地よくしていれば、健全な精神と肉体を維持できる。それは、あらゆる活動の根本だと思う。暮らしのあらゆる面で創造活動を繰り返していれば、何かを作り出す基礎力がつく。

暮らしを大切にすることは、社会にもつながっている。「買い物は投票だ」という言葉があるように、毎日の買い物という選択が、「私はこれにYESを投じます」という投票行動になっている。できることなら、地球や社会に善い活動をしている人たちの生活と活動を支えることにお金を使いたい。暮らしを大切にしていれば、何が本当に地球や社会にとって有益な選択なのか、有益とまでは難しくても害が少ない方法はどれなのか、判断力がついてくる。

そういう選択を日々繰り返しているうちに、自分がしている活動が地球の未来や社会にとって善いことなのかどうかも判断力がついてくる。たいていの人は、なるべくなら地球を汚し、だれかの犠牲を払うような仕事は、やりたくなくないはずだ。ほとんどの人は、お金が必要だから仕方なくそういう仕事でもやっているのだと思う。でも、自分で自分の暮らしを丁寧に作っていれば、出費がだんだん減ってくるので、いくらお金がたくさんもらえるとしても、やらなくて済む状態になってくる。本当にやりがいを感じる仕事を生業にできるようになってくる。

暮らしがしごと、しごとが暮らし。収入を得る仕事に偏重してきていると感じたら、この言葉を思い出したい。書いてどこかに貼っておこうかな。

***

早川ユミさんの本にもとてもインスピレーションをいただいています。

『種まきびとのものつくり』

友人が「これ、好きそう!」と貸してくれたのが上記の本で、早川ユミさんのことを知るきっかけになりました。

地方へ移住して、やることがいっぱいすぎていっぱいいっぱいになったり、苦手な虫が出てしょげだりしていたときに、本屋さんで発見して、元気をもらったのが下記の本。
種まきびとの絵日記 はるなつあきふゆ (天然生活ブックス)

畑にはいて気持ちのいいもんぺや、直線縫いでできるカレンシャツ、クルタシャツなどのラフな作り方も載っていて、解読しながらつくるのもおもしろかったです。(普通の手芸の本のように写真付きでていねいに解説されているわけではなくて、スケッチのような感じでかんたんに楽しげに書かれています。でも、解読する楽しさがあります。)

)関連記事