『里海資本論』を読みました。
里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く (角川新書) |
移住して身近になった瀬戸内海の取り組みが多く出てきたので、特に興味を引かれて購入したのですが、事例の紹介がとにかくおもしろい、わくわくするものばかりで、帯の推薦文の通り、希望がわいてきました。里山資本主義の焼き直しでは全くなくて、新しい内容が盛りだくさんでした。
移住してから、ちぬ(黒鯛)や青べら、しず、うまずらはぎ、ぐちなど初めて見る魚がいっぱいで、どれも安くておいしく、摘んで塩ゆでしただけのひじきが普通にスーパーにあったり、瀬戸内というのは海の幸が豊富だなぁと思っていました。冬になるととれたての牡蠣をバケツでたくさん食べさせてくれるお店もあるそうです。
しかし、里海資本論を読んで、ほんの数十年前には赤潮が大発生して、日が当たらないために海藻が絶え、魚がどんどんいなくなってしまい、今のような恵まれた状況は、漁師さんたちを始めとする地元の人たち、心ある学者さんたちの長年に渡る苦労と努力の賜物だったのだとわかり、とても感動しました。例えば間伐など、人間が適度に手入れをすることで健全性が保たれる里山と同じで、人間が八百万の神の一員として手入れをし、やってはいけないことをせずに、恵みをいただくことで海の健全性が保たれるという里海の考え方に、深く共感しました。
一時は、人間は環境に悪さばかりする存在かもしれないと絶望していたこともありましたが、里山、里海の考え方に出会って、人間も自然の一員として適切に自然と関わることで環境に良い影響を与えることもできるんだなぁ、私はそういう人になりたいなぁと思いました。今は里に住んでいるので、最終的に海に流れ入る水を汚さない努力をこれからもしていきたいと思いました。また、そうした里海の取り組みを応援したり、発信したり、いつか機会を見つけて海のゴミ拾いに参加したりもしたいと思いました。
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20150130 『里山資本主義』を読んで