20141101

アマルガムにうなされる

【旧暦閏月九日 月齢 8.2 霜降 霎時施こさめときどきふる

盲点でした。

相方が東京の歯医者さんで治療していた虫歯。治療の途中で地方へ移住してきてしまったのですが、特に痛むこともないので、放置していました。痛まないからと調子に乗って砂糖を食べ続けていたら、ついにまた痛み出してしまい、歯医者さんで診てもらうことになりました。

移住先で自然派の人々がオススメされていた歯医者さんがあり、なるべく抜かない・削らないがモットーで、食養も含めた根本治療をされているようだったので、保険が効かないのですが、そこへ行ってみることにしました。

が、しかし…。相方がしょげてげっそりして帰ってきました。何があったのかと思ったら、詰め物にはアマルガム(水銀50%+銀35%・スズ9%・銅6%・亜鉛少々の合金)、しか使わないとのこと。

理由は?と聞くと、アマルガム(銀歯)のほうがレジン(樹脂)よりも頑丈だから、ということらしく、電磁波のアンテナになるから入れたくないと言ったら、毒は玄米で排出できるから、というようなことを言われたそうです。

「論点すり替わってるやん! 出せるって、そういう問題か?? 原則的には危険性が指摘されているものは身体に入れない、やむをえない場合のみ排出方法を考えるってのが大前提やないん? 玄米食べたら出せるってそんな簡単に済むんやったら、農薬だろうが添加物だろうが何を身体に入れても玄米食べときゃええっちゅうことやないか。食べ物の化学物質はあかんゆうてんのに。そもそも重金属がずっと歯にひっついとんのに玄米で出せるわけないやんか!」と突っ込みたくなりました。。。

自然育児系の雑誌(たしかクーヨン)にも取り上げられていたので、まさかアマルガムを使うとは夢にも思わず、この歯医者さんのサイトでは検索してみなかったのです・・・。そもそも、最近では歯の詰め物にレジンを使うところが多くなり、セラミックもあるこのご時世に、アマルガムなんて言葉すら思い出しもしませんでした。自然派の歯医者さんでアマルガムなんて言葉を久々に聞くなんて「まさか!」以外の言葉が浮かびません。。。完全に盲点でした。

レジンも何でできているかよくわからないけど、ほかに選択肢がないならアマルガムよりはマシだと思います。アマルガムは、電磁波を集めるアンテナとして働き、電磁波過敏症の原因になると言われています。証拠をと調べていたら、アマルガムを除去して、電磁波過敏症が改善した様子を映した動画もありました。

また、昨年、仕事関係で「水俣条約」について知る機会がありました。この条約は、水俣病を教訓として、国際社会が人体と環境に悪影響がある水銀の使用を段階的に減らしていくことで合意したものです。ピンときて「よかったなぁ、これでアマルガムもなくなるのでは?」と思っていたら、やっぱり使用削減対象物のリストに歯科用アマルガムも含まれていました(参照→環境省「水銀に関する水俣条約」の概要)。死んで火葬されるときに、アマルガムの水銀が気体となって放出されて、後の世代に水銀汚染を残してしまうという問題は、水俣条約関連のことを調べていて初めて知りました。死んでからまで迷惑をかけたくないなぁと思いました。

アマルガムに含まれる水銀は口の中で食べ物を噛むたびに水銀が少しずつ蒸発して、水銀の蒸気を吸い込んでいるという研究報告もあり、口の中で水銀がイオン化しているかどうかを調べてくれる歯医者さんもあります。頑丈と言われていますが、3年以内に劣化の兆候が出てきて、10年後には平均で総重量の約73%が減少するという研究報告もあります。水銀は神経毒なので、さまざまな病気や身体の不具合の原因になることがあり、アメリカでは自閉症の原因になったとして訴訟がたくさん起こっているようですし(関連記事(英語))、スウェーデンでは2008年に使用が全面的に禁止されています。ほかには、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、イギリス、カナダでも使用が制限されているという情報も出てきました。

今回は検査だけで、2週間後に治療計画の話し合いをしてから治療開始になるので、まだアマルガムを詰められたわけではありません。よく話を聞いてくれて、治療計画もきちんと相談して納得の上で進めてくれる歯医者さんなので、説得してみようとは思うのですが、どうしてもアマルガム以外はできないと言われたら、他の歯医者さんに行くしかないなぁと思っています。自分で知る分には、直感的にアカン、だけで充分なのですが、安全だと思っている人を説得するとなると、材料をしっかり集めないといけません。おかげで詳しくはなりましたが、夢でまでアマルガムにうなされました・・・。

今回のことは、たとえ専門家であっても、完全に人任せにしては身を守れないという教訓になりました。それから、両親に感謝したくなりました。私の両親は、「チョコレートは食べるな!」「砂糖食べたらすぐ歯磨きしろ!」「よく噛め!」と耳にタコができるほど口うるさく言ってくれたので、私は虫歯がなく育ち、おかげでアマルガムなんてものには無縁でした。大人になって、磨きにくい親知らずの影に虫歯ができてしまったのが初めての虫歯で、その頃にはもうレジンが一般的になっていたので、私の歯には今もアマルガムはありません。電磁波にもやや敏感なほうですが、相方ほどではなく、厳しくしつけてくれた親に感謝したいです。

>>後日談:「アマルガムのその後の話

*ご参考*
ちょっと調べるとアマルガムの危険性についてはいろいろ出てきます。

◆歯の水銀がアトピー要因/アマルガム除去で確認(四国新聞2001/10/19)
http://www.shikoku-np.co.jp/national/life_topic/20011019000093

その不調「有害金属」が原因かも? 「解毒力」を高めよう(1)(日経ヘルス・フォーメン2011/9/2)

●PDF版:「幸せな人生を奪い去る水銀アマルガム」メアリー・デービス著/歯科用アマルガム水銀症候群支援協会(DAMS)デ・モイン支部刊)

●論文:Is dental amalgam safe for humans?(The opinion of the scientific committee of the European Commission Joachim Mutter)

アマルガムは安全だという主張もありましたが、出典がないものばかりで、信用できるものはありませんでした。その中には、危ないのは有機水銀で、アマルガムは無機水銀だから問題ないという論拠が多いのですが、これについて論文を引用しながら反論している動画がありました。簡単に言うと、無機水銀+大腸菌などの菌類→有機水銀になるという研究論文(「水銀の化学形態変化と生物活動」)があるそうです。