20190820

暮らしのなかで望む世界をじわじわ創る

望む世界を創るのに、アプローチはさまざまある。政治的なアプローチ、NPO的なアプローチ、投資的なアプローチ、アート面からのアプローチなどなど。一番取り組みやすくて、続けやすいのは、暮らしのなかで実践していくことではないだろうか。

たとえば、日本の食料自給率は40%程度(2017年度はカロリーベースで38%)。工業先進国では最低の水準だ。農業の役割は、ただ単に食べ物を提供するということだけではない。食料自給率が高ければ、外国との貿易交渉にも強くなる。

有機栽培や自然栽培の育て方であれば、土を豊かにし、水を豊かにし、植物の力で空気もきれいにし、生き物が住みやすい環境をつくり、景観もよくし、土砂災害の起こりにくい土地をつくることに貢献することもある。それに食べる人の健康な身体と精神を養う。病を未然に断つ力がある農家は、命を救う医師と同じくらい尊い仕事をしている。コウノトリやナベツルが帰ってくるようになるなど、絶滅危惧種が復活することもある。

だが、日本の食料自給率は低い。有機栽培、自然栽培に至っては、1%にも満たない。これを高めないとと思ったときに、さまざまなアプローチがあるなかで、手っ取り早いのはやはり、自分の家で食べるものに占める日本で生産された有機栽培や自然栽培の農作物の割合を高めることだろう。ささいなことに思えるかもしれないが、ちりも積もれば山となる。

先日の我が家の昼ごはんを振り返ってみると、ごはん、ぬかふりかけ、納豆、味噌汁、野菜炒めで、産地は、ごはんとぬかは隣県、ごまはボリビア、塩はモンゴル、納豆の大豆は北海道の渡部さんの、味噌汁の味噌は自家製で麹は米が秋田県の佐々木さんが育ててくれたもの、麹菌が福井県のマルカワみそさんの蔵付菌、大豆は北海道の渡部さんが育ててくれたもの、具の海藻は隣県の漁業組合の、野菜炒めのキャベツとパクチーと絹さやは我が家で育ったもので、重さで言えば、9割以上は国産、8割くらいは近隣のものだった。我が家では日本の食料自給率は重量ベースで9割近いことが多い。

我が家では、日本の有機栽培や自然栽培の割合を増やしたいと考えている。それで、多少値段が高くても、日本の有機栽培や自然栽培の食品を選んでいる。食事の9割くらいは日本で栽培された有機栽培や自然栽培のものになる。

我が家にある海外産のものは、オリーブオイル、モンゴルの天日湖塩、たまに使うスパイス、ココナッツ製品(オイルや粉、ミルク)、ナッツ類など。日本では育てられないものや、値段が高すぎるもの(オリーブオイルは小豆島産の有機栽培のオイルを買ったことがあるけれど、希少すぎて250mlで6千円くらいした!おいしかったけど)、放射能汚染や海洋汚染などの心配がないものが見つからない場合、海外のものを買う。

それでも、「身土不二」の言葉の通り、季節の身体の変化に合ったものが住んでいるところで育つので、海外産のものを食べる割合は少なめに抑え、なるべく近くでできたものを食べるのが身体にいいと思う。自分の家の畑でできたものが一番自分の身体に合っている感じがする。

…とはいえ、身体の声を聞くのが第一だと思う。毎日使う油も国産にしたいと思って、県内産の無農薬栽培の菜種油を見つけ、一時期、菜種油を使っていたこともあるのだが、胃がもたれたり、肌に不調が現れたりして、どうも私の身体には合わなかったようで、ヨーロッパ産のオーガニックのオリーブオイルに戻したことがあった。油の自給率アップといえば米油だが、抽出が難しくて化学溶剤を使うことも多く、抽出方法を書いている商品がまだ見つかっていない。オーガニックの米油も見たことがない。米ぬかの部分には、農薬や放射性物質などの汚染物質が溜まりやすいということもあり、米ぬかの部分から抽出される米油は今のところ、使用は控えている。「身土不二」で健康になろうと思って国産品を選ぼうとしているのに、健康のリスクを高めることになってしまっては元も子もない。

脱線したけれど、大きな取り組みに目が行きがちだが、大きなものほどハードルが高い。幾多の条件をクリアするまで何もせずに手をこまねいているよりも、身近なところからできる範囲でやっていくほうが発見があっておもしろい。

それにささやかではあっても影響力はゼロではない。

うちに遊びに来た人がうちの料理を食べて、そういうのもいいなあと思ってくれた人が、食事に対する考え方の参考にしてくれることもある。そうやって少しずつ、国産の有機栽培or自然栽培の食べ物を選ぶ人の数と回数が増えていけば、生産者の営みを支えることにささやかでもつながる。

うちの近所の普通のスーパーでも、私がよくオーガニックの商品を買うせいか、だんだんオーガニック製品の種類が増えてきた。身近で買えるなら買ってみようという人もいると思う。そのためか、継続して置いてくれている。同じ会社の別の店舗に寄ったら、うちの近くにあるのにそこにはない商品が多かった。

ささやかなことでも積み重なれば確かな力になるし、大きな取り組み1つに頼るよりも、リスクが分散できてしなり強いかもしれない。望むことがあるなら、まずは自分の裁量で可能な範囲から実現してみる。楽しんでいるうちにまわりも変化していく。ここ最近、そういう感じがしている。

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