20181225

アレルギー対応で自然栽培の食材に積極的な「八芳園」―こんな結婚式場が増えるとうれしい

季刊書籍『自然栽培』のvol. 15に、

季刊書籍『自然栽培』のvol. 15
アレルギー対応のメニューや自然栽培の食材を取り入れている「八芳園」のことが載っていた。

「八芳園」は東京の白金台にある日本庭園で、「裏・表がなく、八方から眺めて美しい」というところから「八芳園」と名付けられたそうだ。庭園内には、結婚式場とレストランがあり、ここで自然栽培の食材を取り入れようと努めている取締役専務・総支配人のインタビューが掲載されていて、興味深かった。東京のどまんなかにそんなところがあったとは。

海外視察で、オーストラリアとシンガポールに行かれたときに、ハラル(イスラム教の戒律で許された食材を使用している食べ物)やベジタリアンに普通に対応しているのを見て、日本のサービスは遅れていると痛感されたという。日本だったら「ノー」と切り捨てるのが普通だが、一歩海外に出たら、当たり前に対応しているのを目の当たりにして、オーガニックレストランに方向転換することを決意されたそうだ。自然栽培の食材を取り入れているのは、現在のところアニバーサリーガーデンというレストランだけだが、いずれ本館でも取り入れていきたいという。

他の店舗でも7大アレルゲンを使わない結婚式の披露宴メニューを取り入れた話も感心した。アレルギーのあるゲストには、間違わないように先に、アレルゲンの入っていない料理をレギュラーメニューとは違う皿で提供するが、「なんで君だけ違うの?」「僕、エビアレルギーだから」とカミングアウトしなければならない状況を作ってしまうというのが、式場としてどうなのだろう、と思い、アレルゲンフリーのメニューをつくることにしたそうだ。こういう配慮はとてもありがたい。

私も菜食になってから、結婚式に呼ばれるのが苦痛になった。挙式をする当人たちには菜食になった理由も理解してもらっていることが多いので、快く菜食メニューに対応してくれるのだが、いろんなレベルの知り合いが参加するため、料理が違うといろいろ困ることも多い。

「なんで君だけ違うの?」
「お肉を食べないんです」
「いつからイスラム教に改宗したの?」
と冷やかされたこともある(ご存知だと思うが、イスラム教は豚は食べないが、全ての肉を食べないわけではない)。

冷やかされるまではいかなくても、「あっちのほうがおいしそうだな~」と恨めしそうに見られたり、「一人だけ違うメニューということは、なんかちょっと変わった人なんだろうな」と白い目で見られたり、みんなと違うメニューというだけでかなりいろいろ居心地のわるい思いをする。

動物性食品を食べて重篤な症状が出るわけではないのだが、動物性食品は身体に負担になり、食べてしまうとしばらく身体が重くなる。それに、最近ではマイクロプラスチックや重金属類、放射性物質などの海の汚染が魚にも入り込んでもいるので、本当は魚も控えている。だが、日本では、肉も魚も使わずに野菜だけで披露宴にふさわしいごちそうを作るのが難しいらしく、魚もなし、というリクエストはほぼ不可能だ。完全にベジタリアン対応のレストランが増えてくれると、呼ばれるのも気楽になってたいへんありがたい。

友人が、友人知人の協力を得て、全て手づくりでビュッフェ形式の結婚パーティを開いた。友人は自然派の友人が多かったので、砂糖の害も理解していて、砂糖が本当に必要なデザート意外にはお砂糖が入っていなかった。酢飯でさえも砂糖は使わず、無農薬の柑橘類の絞り汁を使うという徹底ぶり。お魚もお肉もあったが、菜食メニューも豊富で、好きなものを取って食べられるので、料理で浮いてしまうということもなく、とても居心地よく参加させてもらった。

全部知り合いの手づくりとなると、気を遣って大変だろうな、とも思ったので、八芳園のような取り組みが広がると、選択肢が増えて、マイノリティも心おきなく楽しめるパーティが可能になるだろうと思った。マイノリティは、マジョリティよりは数は少ないかもしれないが、確実に存在する。数が少ないからと「ノー」と断って切り捨てたり、黙らせて我慢させたりするのが、今までの日本のやり方だったのかもしれない。マジョリティと違っても、大切な人に変わりはない。由緒ある日本庭園の式場で、一人ひとり異なるニーズにうまく応えていこうと努力されているのを知ってありがたい気持ちになった。

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