20160122

日本のマスコミの低俗さは、日本人の平均的なレベルの低さを示している

【旧暦師走十三日 大寒 初候 款冬華(ふきのはながさく)】

「マスゴミ」とマスコミを非難する言葉がある。マスコミを「マスゴミ」にしているのは誰、もしくは、何なのだろうか。

ジャーナリストの志葉玲さんが以下の記事で、鋭く指摘している。
誰がマスコミを「マスゴミ」にしたのか―SMAP解散危機、ベッキー騒動は「ニュース」なのか?
http://bylines.news.yahoo.co.jp/shivarei/20160118-00053528/
SMAPの解散報道を見ていて、堤未果さんの「社会の真実の見つけかた(岩波ジュニア新書)で読んだことを思い出した。こんなに騒ぎ立てることだろうか?と思うような、
ゴシップ的ニュースが騒がれているときは、政府が国民に知られたくないことを進めようとしている可能性がある。

この記事で指摘されている通り、もっと重大な「ニュース」はたくさんある。

この記事で挙げられているのは、
  • インドネシア・ジャカルタでのテロ事件
    →中東やヨーロッパだけでなく、アジアにも過激思想が広がりつつあることを示す事件。「ISに名指しでターゲットにされている日本も他人事ではない」(同記事より引用)という。
  • 緊急事態条項
    →首相が「緊急事態だ!」と思ったら、国会を通さずに、内閣だけでの法律の制定&個人の人権の制限ができてしまうという条項。「独裁条項」「民主主義破壊条項」とも呼べるくらい危険なもので、ナチスドイツの「全権委任法と同様の危うさがある」とのこと。
  • GPIFの巨額損失
    ざっくり言うと、みんなの年金を株に投資してみたら、大失敗して大損してしまったという話。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による年金運用での最大損失額は「21兆5000億円」(安倍政権の推定)。最近の自民党のポスターには「経済で結果を出す」なんて書いてあったけど、なんたる結果だろう。
など。

でも、こうした重要なニュースが大きく報じられないのは、視聴者・読者のレベルが低いから。

志葉玲さんのご友人のニュース番組のディレクターさんは次のように語っています。
「僕も中東での戦争などのニュースをもっと取り上げたいんですが、そういうのは、視聴者から敬遠されるらしい。テレビ局では、リアルタイムで視聴率をモニターしているんですが、ニュース番組中、戦争のことをやると、見事にそこだけ視聴率が落ちるんですよね…だから特集企画も通りづらいんです」(同記事より)
翻訳を担当させてもらっている媒体でも、表紙がSMAPの解散報道だった。表紙が親しみやすいと手にとってもらいやすいからだと推測するが、最近は、スポーツ記事、アイドルの話題、海外セレブなどが、表紙になることが多くなったように感じる。売れないことには存続が難しくなってしまうので仕方ないことだとは思う。少し前までは、国際的に注目されていたり、非常に重要な動きだったりといった、結構カタイめの記事が表紙になることもよくあったように記憶しているが、ここにも、読者層の意識レベルの低下が如実に表れているのかもしれない。

マスコミのマスゴミさは、私たち視聴者・読者・有権者のレベルの低さを表していると考えて、自分やまわりの意識レベルを上げていく必要があると思う。

社会全体の問題、世界全体の問題について、見識を磨き、意見を形成するたゆまぬ努力が、よいメディアを育てていくことにつながると思うし、よいメディアが広がれば、無関心な人たちにもきちんと情報が届いて、全体的にどんどんレベルが上がっていく、いい循環に入っていくはずだ。

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