20151124

日本の奨学金制度について考えてみた。うーん、デンマークがうらやましい。

リテラにこんな記事が出ていました。
これでも奨学金は自己責任なのか? サラ金より過酷な取り立て、巨額延滞料、それでも借りるしかない現実!(リテラ 2015.11.24)

こんな本が紹介されていました。読んでみたいと思っています。

日本の奨学金はこれでいいのか! ―奨学金という名の貧困ビジネス


日本でもようやく少しずつ話題にされるようになってきた日本の教育支援体制の問題点。そもそも、日本の公的な奨学金は貸与型なので「奨学ローン」と呼ぶのが正しいようです。
"利子がつくか否かにかかわらず、返済しなければならない「奨学金」のことを、外国では「教育ローン」と呼ぶそうだ。日本の奨学金の概念は、国際標準からズレているらしい。"
夢をかなえようと借りた奨学金を返すために、夢をあきらめる不条理(マガジン9 2011.2.2)より
以下のグラフはOECDが2013年に発表した「図表で見る教育」からのデータです。縦軸が大学の学費の額(上に行くほど高く、下にいくほど安い)、横軸が公的な奨学ローンまたは奨学金(給付型)の恩恵を受ける学生の割合(右へ行くほど多く、左へいくほど少ない)です。

OECD「図表で見る教育」日本カントリーノートより
日本は、ポツンと左上のゾーンにあります。つまり、学費が高くて、奨学金などの教育支援が少ない唯一の国だということです。Huffington postの記事「教育への公的支出日本は最下位 奨学金制度が鍵=OECD報告書」に簡単にまとまっていますので、ご覧になってみてください。

教育評論家の尾木直樹さんは、NHKの番組で次のように語っています。
"国際人権規約で定められている「高校・大学の学費無償化条項」という項目があるのですが、この条項の批准を拒否しているのは、国連加盟国の中で日本とマダガスカルの二カ国だけなのです。国連からも、改めるよう勧告を受けています。"
【出演者感想】尾木直樹さん「日本の奨学金制度は国際標準とは呼べない」(NHK『シリーズ・貧困社会』2013.05.20より)
日本の公的な教育支援体制が他国と比較したときに、大いに改善が求められるということを、私も数年前までは知りませんでした。

「貧乏だもの、借りられるだけありがたい」と思って借りました。大学を出ればいい企業に入って一生安泰だから、らくらく返せると思っていた高校生のころ。でも、実際には、終身雇用の一生安泰な会社勤めの時代なんて、とっくの昔に終わっていた。私が高校生の頃にはすでに「過労死」という言葉が流行っていたし、今では「ブラック企業」「ブラックバイト」「社畜」なんて言葉が日常的に使われるくらい、働いて人間らしい暮らしを送るのが難しい時代になってしまっています。

いざ卒業してみると、返済のきついこときついこと・・。全部で400万円以上の借金をかかえて卒業しました。税金の控除があるとありがたいのですが、そんな制度は今のところありません。それでも、好きなことを仕事にして、返済できるだけ、恵まれています。

奨学金によるメリットは、学生に限定されるものではありません。前述のマガジン9の記事に、びしっとこう書かれています。
"「奨学金は林業だ」と岡村さんは語っていた。貸与の効果は世代を超えて還元される、息の長い営みである。そして、その最大の受益者は社会だ。NHKの番組で学者が指摘していたが、人材を育てることが経済成長につながり、結果として国の競争力を高めると見れば、目先の「成果」だけにとらわれず国を挙げて支援すべきことは自明の理だろう。"
国が教育を支援することは、貧乏人へのお情けではないのです。国全体の発展と幸福のために必要な投資です。

先ほどのグラフで、右下のゾーン、つまり学費が安くて奨学金が充実している国の一つ、デンマークの状況がひっじょーーーにうらやましいので駐日デンマーク大使館のツイートを引用します。本当の「先進国」ってこれなわけですよ。

ほんでもって、会社を出たあともこうです。

いやはや。。はい、デンマークで仕事を探したいですね。やはり教育は投資。繁栄しています。

なぜ、デンマークはこんなに羨ましい状況なのか? それは政治への意識の高さにあるようです。
望む未来をつくることは、国民一人一人の意識と行動しだいです。日本がこんな状況なのは、政府のせいでも、おっさんたちのせいでもなく、自分たちの無頓着、無関心、無気力、無力感にある。デンマークを見習って、政治を通じても声を届ける努力をしていきたいです。