畑で虫や草花の観察をするのは
世の中の学びの時間です。
どの生き物も草花も
取り過ぎることなく、与えすぎることなく、
みんなそれぞれ自分が生きるためのことをやり、
それがほかの生き物のためになって
世界がまわっています。
虫の世界には、
稼ぎが大きいからエライとか、
小さいからバカにされるとか、
グループのなかで指揮を取るから上だとか、
与えられた役割を果たしているだけだから下だとか、
そういう価値観が存在していないように思えます。
仕事を出すほうがえらいとか、
雇われてるから従わないといけないとか、
リーダーだから役割が上になったとか、
専門家じゃないから言っちゃいけないとか、
そういう考え方は、人間の世界だけなんだと気がつきます。
私は人間だから、人間の世界の“常識”には
ある程度則って生きて行かなければなりませんが、
必ずしもそれが絶対ではないと知るとほっとします。
人間のこの世界でも、
そういう価値観を持っていない人にときどき出会います。
「誰もがリーダーだったらこの世界はバラバラになってしまうよ」
と言う芸術家。
「縫ってくれる人がいるからこそ、
パターンを引いてくれる人がいるからこそ、
私たちの作品を応援してくれる人がいるからこそ、
創作が続けられる」と言うデザイナー。
「苦手なことをがんばらなくても得意な人がやったらいい。
それぞれの役割があるんだから」という起業家。
上も下もない。優も劣もない。
それぞれがそれぞれの好きなしごと(*)、
生きることに通じるしごとで輝いて、
お互いに尊敬しあいながら、
持ちつ持たれつの感謝の気持ちを忘れずに
生きていける世の中になったらいいなぁ。
畑の生き物たちを見てそんな願いを持ちました。
*しごととは、お金を稼ぐことに限らず、
人のために、自分が生きていくためにする活動
すべてのことを指しています。