久々に大型書店を散歩していると、引田かおりさんの新刊を発見しました。
SCRAPBOOK 私を作る愛しい日常 (引田かおり・著/清流出版・刊) |
青空 そよかぜ 深呼吸 (引田かおり・著/大和書房・刊) |
引田さんのことは、暮らし系の本でよくお見かけして、片付けコンサルタントの本多さおりさんの本でインタビューを読んだのをきっかけにぐんぐん惹かれるようになりました。見慣れない本が2冊、棚に面で並んでいて、いつのまにか2冊も新著を出されていたのかーとうれしい驚きでした。
繕い物がアートだと思わせてくれた本「お直しとか」の横尾かおるさんの別の本にも引田さんとのお話が書かれていて、その本の、とても心温まるエピソードの中で「かーりん」と呼ばれているのを見て以来、引田さんを本や雑誌でみかけるたびについ「あ!かーりんだ!」と思ってしまいます。
吉祥寺の大好きなパン屋さん、いつも大人気で、訪れるとよく行列ができていたダンディゾンのオーナーと知ったときは、知らないうちにすでにお世話になっていたのかーとまたびっくりしました。引田さんのギャラリーの「ギャラリーフェブ」はあの頃は知らず、また東京に行くことがあったら訪れてみたいです。
優しいピーチ色の表紙のSCRAPBOOKは、引田さんのお気に入りがスクラップブックのように写真に一言が添えられて紹介されています。パラパラと眺めているだけでも、好きな気持ち、使ったり見ていたりして嬉しい気持ちが伝わってきて、じんわり心が躍ります。考える整えるなどテーマに分かれています。それぞれの章にはそのテーマについて引田さんのエッセイも入っていて読み応えがあります。巻末にはYOUR SCRAPBOOKの欄が数ページ用意されていて、自分のお気に入り、見てうれしくなるモノやコトをスクラップできるようになっています。それもまた素敵なアイディアだと思いました。暮らしのことや、生きていくこと全般で大切にしていることが文章で伝わってくるだけではなく、大切に思うことを大切にして暮らしてこられた中で出会ってきたお気に入りのものたちがあって、そこで生まれてきたストーリーがあって、ものを見ているだけでも生き方、考え方が伝わってくるような感じがしました。眺めているだけで顔がほころんできます。
もう一冊はエッセイで『青空 そよかぜ 深呼吸』。読んでいて心が爽やかに晴れ渡っていくような感じがしました。普段お考えになられていること、お感じになられていることを書いてくださっていて、これまでは暮らしのことや暮らしの風景などからお人柄を垣間見る感じが多かったのですが、そういったことを改めて読ませていただいて、あーそれでこういう暮らしを築かれているんだなーとさらに学びが深まった感じがしました。ますますファンになりました。
思っていらっしゃること、感じていらっしゃること、お考えになられていることを、飾ることなく、まっすぐにのびのび書かれていて、こんなふうに自分をありのままに表現して、かつ、読んだ人に罪悪感や無価値感を覚えさせないのは、普段から他人や自分に対してずばっと裁く姿勢を持っていないからなんだろうなーと思いました。ともすれば「いい・悪い」に陥りがちなテーマになっても、読んでいて責められている感じや自分はだめだな・・と落ち込んでしまう感じとかは全くなくて、すごいなーと思いました。そういう状態に入るのは長年の積み重ねがあればこそなんだろうなあとも思いました。
私だったら、「うーん、なーんかカドが立ちそうだからやめとこーかなー・・。でも言わなきゃ逃げてるみたいかなー・・。うーん・・・、工夫して丁寧に言ったらなんとかなる??それも労力と時間がかかりすぎそうだから、今日のところはやめとこう・・・」と回避してしまいそうな話でさえ、屈託なく、ほがらかに書かれていて、でも全然カドも立ってないし、威圧感も、責められている感じもないし、むしろ読んでいて爽快感を覚えるような感じで、それがすごいなーとひたすら感心しました。私がそうなるにはまだまだ日々の鍛錬が必要そうです。たびたび読み返したくなる本でした。
どちらもとても素敵な本です。いい本と出会えてうれしい日になりました。
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