20220403

[本紹介]『服を10年買わないって決めてみました』(どいかや・著/白泉社・刊)

絵本作家のどいかやさんの本『服を10年買わないって決めてみました―買わずに楽しく絵本作家のシンプルライフ』を読みました。

『服を10年買わないって決めてみました』
(どいかや・著/白泉社・刊)

どいかやさんの暮らしのことについては、暮しの手帖のムック『暮らしのヒント集・5』で初めて知り、視野を広くして世界全体のさまざまな状況を踏まえて「こっちのほうがいいな」と感じられることをどんどん行動に移されている様子が印象に深く残っていました。なので、図書館の手芸コーナーにこの小さな本を発見して、「あ!」と思いました。

この本は、タイトルの通り、10年間服を買わないというチャレンジをした体験を、イラストと一緒にまとめられたもので、読み物としておもしろいだけでなく、実践にも役立てられるアイディアがたくさん載っています。

とある年の大晦日に手持ちの服を整理していたどいさんは、収納しきれないほどたくさん服を持っているのにまだ服を買い続けている自分を振り返り、「なにをやっているのだろう?」とふと思ったのだそうです。私も思い当たるフシがあります…。

どいさんは絵本を作るという「ものをつくること」を仕事にしていることもあって、服がどのように作られているかに思いを馳せ、このまま大量生産、大量消費を続けたらどうなるのだろうか?と考えたことから、この10年チャレンジをスタートしたそうです。すてきなイラストで、服ができるまでの道のりと、そこに関わってくる環境問題と社会問題について、わかりやすく描かれています。

どいさんはまず持っている服を整理した後、残っている服をリメイクしたり、染め直したり、工夫して10年間を乗り越えていきます。チャレンジスタートから5年ほど経った頃、お知り合いが手芸クラブをスタートして、リメイクがさらに順調に波に乗っていきます。いまあるものを工夫することを通じて、さまざまな人々とのあたたかい交流が生まれていく様子も、とても素敵だと思いました。

2006年にスタートして2015年に見事に10年間の服を買わない挑戦をやり遂げられました。全体を読んで、どいさんは、みんなに服を買わないことを勧めているわけではなく、服がどのように作られているのかに少し思いをめぐらせて、どういったものを買うのか、買うことでどういう活動を残していきたいのか、を考える機会にしてもらいたいのだと思いました。オススメのエシカルな(ethicalは「倫理的な」という意味で、環境問題や社会問題に配慮して作られている製品を指します)お店の紹介や、参考文献も載っています。私も好きなお店が載っていてうれしくなりました。

自分の服を作るようになって、服は下着や靴下くらいしか滅多に買わなくなりましたが、それでも、ついつい布は買ってしまい、どんどん布も、服も増えています・・。たくさんありすぎると、全部を大切にするのがむずかしくなると、どいさんも最初のほうで書かれていましたが、適正量をもう一度考えようと思いました。モノとの心地よい付き合い方を今一度、見直したいと思います。