20140215

バレンタインがきらいなわけ

日本のバレンタインデーには苦々しい気持ちになる。最近はフェアトレードのチョコレートもあるので、そうでもなくなってきたのだが。

日本のバレンタインデーは、本来のバレンタインの精神を忘れ、基本的に女性が男性にチョコレートをプレゼントする日になっている。チョコレートメーカーが金儲けにしかけた。諸説あるが、本来、バレンタインとは、聖職者Valentineの命日だと言われている。St. Valentineとは、貧しい人、生活に困っている人、社会的弱者を救おうと心を尽くした人物である。

一人が一人にあげるだけでは飽きたらず、義理チョコ(恋愛対象でない複数の男性にあげるもの)、友チョコ(女友だちにあげるもの)、超義理チョコ(嫌いな男性にあげる安いチョコ)と、チョコを配る対象がどんどん増えている。

こんなことが好きな女性はいいだろうが、そうでない人間には苦痛である。こんなことに散財したくないし、あんなにたくさんのチョコレートを配らないといけないなんてお金のない人は楽しめないイベントだ。感謝の気持ちを伝えるいい機会でしょう?と言う人もいるかもしれない。感謝の気持ちなら普段から機会あるごとに伝えればいいと思う。何も一年に一回に限る必要はないし、チョコである必然性も私にはわからない。

男性は自分が誰からもチョコをもらえなかったらどうしようとハラハラし、本命チョコならうれしいかもしれないが、義理チョコをたくさんもらったらもらったでホワイトデーのお返しの心配をしなければならない。女性は女性だというだけで、「女子なのにチョコあげないの?」みたいな、チョコを配らないといけないというプレッシャーがある。男性に「君、今日は何の日か知ってる?女子なのにバレンタインなんて関係ないみたいな。変わってるねぇ」と言われたこともある。

しかも、そのチョコレートはほとんどが貧困国の人々と自然の犠牲の上に作られたものだ。フェアトレードのチョコレートは極わずか。低賃金で過酷なプランテーションで働かされ、仲買に安く買いたたかれたカカオ。教育の機会を奪われて働かされている子どもたちもいる。砂糖もフェアトレードでなければ同じようなもの。プランテーションを拡大するために自然が破壊されている。

ミルクは、暗くて狭い牛舎に閉じ込められ、本当は草が好きなのに乳脂肪分を高めるためだけに穀物を食べさせられて、病気になると厄介だからと薬漬けにされている可哀想な牛から搾り取ったもの。飼料穀物は大抵遺伝子組み換え穀物だ遺伝子組み換えといえば、乳化剤によく使われる大豆レシチンも遺伝子組み換え大豆が原料であることが多い

日本のバレンタインデーは、命を冒涜している。人間をバカにしている。真実を隠されて、知らずに楽しんでいる人のことを批判はしないが、私は企業の金儲けに振り回されたくはない。空気で強要されても怯まない自分でありたい。あげないと仲間外れになるし、とか、気まずいし、と思う女性の感情や、誰からももらえなかったら悲しいという男性の感情といった、人間の恐怖心を煽って金儲けに使うやり方が大嫌いだ。

St. Valentineの精神に則って苦境に立たされている人々のことを考える日にしたい。自分を支えてくれている人や自然を想う日にしたい。フェアトレードのチョコレートを味わいながら、遠い国の人々と自然に思いをはせるのもいいかもしれない。