20190226

羊に痛みを与えないノンミュールシングのウールを選びたい―「ミュールジング」とは?

大好きなフェアトレードブランドのピープルツリー。購読しているメールマガジンで、以前、気になる情報があった。
ピープルツリーのニットは、ニュージーランドのウールを使っています。
ニュージーランドでは、ヒツジにとって残酷な処置である「ミュールシング」が国の法律で禁止されているので、ノンミュールシング・ウールであることがきちんと保証できるからです。
ピープルツリー The Days 2018/10/31「ヒツジにもやさしい。着まわし優秀なシンプルニット」より)

ウールは天然素材だから肌にも環境にも優しいイメージがあった。ダウンやレザーは動物を殺さなければとれないが、ウールは羊を殺さないので、防寒にはウールがいいかなあ、と思っていたが、「ヒツジにとって残酷な処置である『ミュールシング』」とは?―とても気になって調べてみた。グーグル検索すると、ウィキペディアの説明や、動物愛護団体の説明が出てくる(動物愛護団体の説明のなかには、残酷な写真も出てくるので、開くときには注意が必要)。

ウールを取りやすく品種改良されたメリノ種のヒツジは、皮膚面積が大きく、皮膚にシワが多い。そのシワに糞尿がたまりやすく、ウジがわいたり、病気にかかったりしやすいために、臀部(おしりや性器)を切り落とす―これを「ミュールシング」と呼ぶそうだ。麻酔もなしで、傷跡の手当もしない。そんな残酷な手法を考案したジョン・ミュールズという人の名前が由来になっている。なんて不名誉なことだろう。

自然にまかせていたら、そんな病気になりやすい種は、病気になりにくいように進化していくものだと思う。毛をいっぱい取りたいからと、皮膚面積が大きくなるようにヒツジを人工的にかけ合わせさせて、病気になりやすくなったら今度は病気になりやすいところを切り取ればいいや、なんて、本当にひどい。人間はなんて身勝手なんだろう。人間の都合しか考えていない。

ニュージーランドではこの「ミュールシング」を2007年までに廃止。現在は、法律で禁止されている。「ニュージーランド産」と分かっているウールなら、ヒツジに残酷なことはしていないということなので、できるだけニュージーランド産を選ぼうと思った。

ミュールシングをしていないことが明確なウールしか買わないという賢い買い手が増えれば、ミュールシングを法律で禁じる国や、ノンミュールシングのウールを使っていることを明示する企業は増えていくだろう。今後も他の国々や企業の動きにも注目して、ウールを買うとしたら、ミュールシングを行なっていないことがはっきり分かっているものを選びたい。

無印良品では、2012年ごろからミュールシングウールの使用を段階的に廃止との情報があり(公式な発表を発見できなかったが)、現在は使用していないよう(現在使用していないことは公式発表あり)。
無印良品は羊本来の自然のままのやさしい飼育方法にこだわり、ノンミュールジングの羊の毛を使用しています。
トレーサビリティという点においても、羊毛を購入する際にはノンミュールジングであることを確認し、素材を選択しています。(良品計画「100の良いこと」より)
ウールについてはミュールシングだけが問題なわけではなく、「生産性が低くなった」ヒツジは食肉用やムートン用に殺されることもあるという。動物性のものは、動物に負担をかけていることが多い。できれば、残酷なやり方をしていないことがはっきり分かっているウールを選ぶようにしたいが、本当にヒツジを大切にしているのか分からないことのほうが多い。ノンミュールシングのものを選ぶだけでなく、ウールを着させてもらうとしたら、大切に長く着るようにしたい。

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