20190122

ナチュラルでシンプルなケアに至るまで

今ではかなりシンプルなケアに落ち着いたが、ここに至るまで、本当にさまざまな化粧品に手を出し、肌の手入れに一日に何時間もかかっていたころもあった。

美容に興味を持ち始めたのは10代のころ。雑誌で研究したり、ドラッグストアでいろいろ見比べたりして、さまざまな化粧品を試していた。

ピンからキリまで次々にいろいろな化粧品を試してみて、3千円を下回る化粧水や乳液だとどうも肌の調子がわるいということに気が付き、化粧品代がだんだんかさむようになっていった。敏感肌の知人おすすめの無添加(といっても、化学物質が完全に入っていないわけではなかったと今はわかる)の皮膚科の医師が開発に関わる基礎化粧品ラインをしばらく使っていたころもあった。

食べ物がとにかくむちゃくちゃだったので、いくら高級な化粧品を塗りたくったところで、そこそこにしかよくならないのは今となってはよくわかるのだが、当時は高い化粧品を使って、ていねいにケアをすれば年を取ってもきれいな肌が保てると本気で思っていた。年をとってからシミやシワに悩まなくて済むように、毎日しっかり塗りたくっていた。

クレンジングオイルで化粧を落とし、洗顔フォームで洗顔して、拭き取り化粧水で古い角質(あるのかないのかわからないが)を落とし、美容液をつけて化粧水の浸透をよくし(よくなっていたのかはわからない)、化粧水をコットンで肌の奥がひんやりしてくるまで入念にパッティングして、乳液を塗ってマッサージをし、クリームで保湿して、ときどきパックをしてみたり、出かけるときは強烈な日焼け止めを塗って…と、日々、何層も剥がしては何層も重ねていた。ここに挙げただけでも9点はある。化粧品一式はなかなか場所を取っていたに違いない。

当時は小鼻の黒ずみにも悩んでいて、水で濡らして鼻に貼って、乾いてからベリッと剥がすと角栓がたくさんとれるパックも週に1回は使っていた記憶がある。たまに涙が出るほど痛い。角栓が取れても、あんなものを肌に貼って引っ剥がしたら肌も傷むに決まっている。皮膚を保護しようとさらに油脂が出てきて、あぶらとり紙は欠かせない。

小鼻の黒ずみは、食べ物を変えてすっかり消えた。肉を食べるのをやめ、よくわからないサラダ油をオーガニックまたは自然栽培の低温圧搾法で絞られた植物油に切り替え、無農薬や有機栽培、自然栽培の食材を自然な作られ方で作られた良質な調味料でシンプルに調理する菜食になって1年ほどで、小鼻の黒ずみはすっかり消え、毛穴も見えなくなった。

食べ物を変える少し前、職場の先輩からネオナチュラルさんの化粧品の話を聞き、ちょうどそのころ、翻訳の仕事で化粧品に含まれる化学添加物がいかに健康と環境にわるいかを知ったばかりだったので、むさぼるようにネオナチュラルさんのサイトを読んだ(今はリニューアルされて見当たらなくなってしまったが、かつてのサイトでは化粧品について調べられたことや考察されたことなどが詳しくブログ記事のように書かれていた)。年をとっても、何も手入れをしていない男性のほうが肌が元気で、たくさん手入れしてきたはずの女性のほうが肌の老化が激しいという指摘を読んで、たしかに、電車などで肌を観察してみると、高齢男性のほうが高齢女性よりも肌が元気で丈夫そうだ。

洗顔料や拭き取り化粧水などの合成界面活性剤で肌の保護膜もろともバリバリと剥がし、水はどんどん入るかもしれないが、バリア機能が失われているので、不自然なもので蓋をして水分と油分の蒸発を食い止めるしかない。毎日剥がして水ぶくれにして不自然なもので蓋をしていたら、皮膚のバリアは損なわれ、不自然なものが分厚く蓄積される。美容に熱心なはずなのに、皮膚が薄くなってパリパリの薄紙のようになった高齢の女性の肌をよく見かける。祖母はあまり美容に熱心ではないほうだったので、シワは年相応にあるが、ふっくらして元気な肌をしていた。

化粧品をなるべく自然なものに切り替え、徐々に勉強を進めて、完全に無添加で、ほとんどが無農薬または野生の原料のものにたどり着き、ケアはかなりシンプルになった。洗顔石鹸、化粧水と美容オイルというかなりシンプルなケアになった。日焼け止めもファンデーションも石鹸で落ちる優しいものになったので、クレンジングは不要に。この頃はネオナチュラルさんかムーンソープさんの基礎化粧品をよく使っていた。

自然の素材だけで作られたものを使うようになると、ふと「自分で作れるのでは?」という気がしてきて、そのうち、自分で原料を買ってきて配合したり、寺田本家さんの日本酒や、小正醸造の玄米焼酎にどくだみの花やゆずの種を漬け込んだチンキとハーブの煎液を混ぜたりして、自分で化粧品を作るようになった。

食べ物に気をつけて、たまに外食でよくわからないものを食べても、ほとんど無農薬で無化学肥料のものだけを食べるようになると(ナチュラルハーモニーさんの食材にはずいぶん助けられた)、5年目くらいで化粧水すらいらなくなった。汚れもほとんどついていない感じになったので、日常的にはぬるま湯で洗顔すれば十分で、石鹸で洗うのもたまにになった。塩素をビタミンCでカットするシャワーヘッドを美容師さんに教えてもらって使うようになったのと、ムーンソープさんの石鹸を使うようになって、肌への負担が減ったのも大きいと思う。

夏はお風呂上がりに何もつけなくても乾いた感じが全くしなくなったので何もつけず、冬はさすがに乾燥するのでまだ肌がしっとりしているうちにアルガンオイルを塗るくらいで済むようになり、ごろごろあった化粧品のビンがオイル1本で済むようになる。ムーンソープさんの石鹸は、髪も顔も身体も全部洗えるので、シャンプー・リンス・コンディショナー・ボディーソープ・クレンジングオイル・洗顔フォームと何個もごろごろ並んでいたボトルたちが、石鹸1個に置き換わり、かなりすっきりした。

今では日焼け止めもほとんどつけなくなった。無添加の日焼け止めに入っている酸化チタンなども私の肌には合わないらしく、塗ると肌が痒くなることに気がついたので、無添加のものもやめてしまった。長時間日射しの強いところに出かけるときは、シアバターとラズベリーオイルに好きな香りの精油を入れた手づくりのクリームをつけることもある。ネットで調べたところ、どちらもSPF値がそれなりにあるらしい。シアバターはアフリカの女性たちが日焼けのダメージ予防につけていると聞き、アフリカの強烈そうな日射しでも大丈夫ならきっと肌を守ってくれるに違いないと思った。

シアバターすら忘れてでかけてしまうことも多いが、あんなに強力な日焼け止めを塗っていたころよりも、そばかすが薄くなった感じがして、まわりの人からもときどきそう言われる。食べ物がちゃんとしていれば、紫外線のダメージなんていうのは大したことがないのかもしれない。

最近は、メドウズのローズウォーターも使うようになった。本当はオイルだけでも良さそうなのだが、あまりにもいい香りでついついつけたくなってしまう。メドウズのローズウォーターはブルガリアンローズの花の蒸留水のみで、保存料も添加されていない。化学添加物の入った化粧水とは違って、つけたところで害はない。ちょっと贅沢だなあと思いつつ、ここ1年ほどは、メドウズのローズウォーターと低温圧搾法のオーガニックのアルガンオイル(メーカーはいろいろ)に落ち着いている。

まとめてみると、美容フリーク→自然派化粧品→手作り化粧品→無農薬・無化学肥料orオーガニックな菜食+乾燥するときだけボタニックオイル→ローズウォーター&アルガンオイル、という経緯を経て今に至る。

10~20代のころよりも今のほうが肌が柔らかくて、毛穴の悩みもなくなり、肌はだんだん良くなってきている気がする。お砂糖をやめたら、くすみも消えた。年を重ねるにつれてシワは出てくるかもしれないが、高齢になってから、薄紙のようなパリパリの薄い肌になってしまうことはないだろうと今は確信できる。これからも肌の様子をよく観察して、食べるものやつけるものを変えていこうと思う。

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