20150821

『政治のしくみがわかる本』(山口二郎・著)と『聞かないマスコミ 答えない政治家』(池上彰・著)を読んで

【旧暦文月八日 立秋 蒙霧升降(ふかききりまとう)】

最近読んでよかった本を紹介します。

●山口二郎さんの『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)

政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)

政治の目的、民主主義とは何か、戦後の日本の政治の流れがわかりやすく書かれています。著者の静かな熱が感じられるところが、よくある解説本と違うと思いました。



「政治とは可能性の芸術である」、「理想主義と現実主義は政治の両輪を成す」という言葉に、現実を見据えながら理想を捨てないこと、排他的にならずに対話を通じて幅広く生の声を聞くこと、それらをもとに自分の考えを構築していくこと、それを穏やかにまっすぐに語り、着地点を模索すること、そして政治に反映させることなど、大切なことを学びました。

政治家は本来、私たちを幸せにするための存在である、という指摘は、現状と違いすぎて驚愕でしたが、NPOへの寄付を税金から控除できるようにする法律の成立に尽力した議員さんの例を思い出し、そういう人もいるよなぁ、そういう議員さんが増えるといいなぁと思いました。

余談ですが、山口二郎さんのことは、SEALs主催の国会前抗議でとても心を打たれる演説をされていたことで知り、そのすぐ後に、偶然、相方が図書館でこの本を借りて来てくれてなんだか不思議なめぐりあわせだなーと感じました。

●池上彰さんの「聞かないマスコミ 答えない政治家」(ホーム社)

聞かないマスコミ 答えない政治家


なぜマスコミがマスゴミと揶揄されるほど、国民に判断材料を与えるという本来の役割を果たせなくなっているのかも、内部からの目線で書かれていてなるほど、と思いました。人手不足や昇進の仕組みなど構造的な問題に、記者さんも昇進など自分の都合だけを考えて仕事をする傾向が強まること(放置すればそうなりがち)が重なっているんだとわかりました。

メディア側のいい質問がいい政治家を育てる、いい質問がいいメディアを育てる、というお話だったので、私もいい質問ができる怖い視聴者、読者になれるように、真実を見出す努力を続けようと思いました。また、全部わかってから声を上げても、手遅れになりかねない現代なので、早め早めに声を上げる勇気を持ちたいと思いました。