20140927

補完しあう

【旧暦長月四日 月齢 2.9 秋分 雷乃収声(かみなりこえをおさむ

有機栽培の農家さんでも合成洗剤を使っていたり。食品添加物や農薬に気をつけている料理研究家さんがIHやテフロン加工のフライパンを使っていたり。環境や平和に関する仕事をしている人が戦争と環境破壊に加担している企業の商品やサービスを利用していたり。

それぞれが取り組んでいる分野とつながっている問題で、そっちも少し気にするようにしたら相乗効果があるのに、なかなかつながらないんだなぁということがよくあることに気がつきました。

直接自分に返ってくるのがわかりやすい場合でも、そういうことがあるのです。例えば、有機栽培の農家さんで、畑では化学物質を使わないようにして、土づくりも熱心にしているのに、地下浸透式の排水で(下水道に流すのではなく、敷地内に流して浸透させる)、合成洗剤を使っていることがあります。合成洗剤を流すと、土や生態系に悪影響があるのに…、とおせっかいだとは知りながら、キッチンや洗濯機のそばには激しく合成洗剤が並んでいるのを見て、心配になったことがあります。

全く意識の違う人たちと交流するのも大切という意見をたびたび耳にするのですが、まずは似たフィールドでやっている人たち同士がつながって、情報交換をして、知らない部分を補完しあうことも意味があるなぁと思いました。

私自身も、農薬や化学肥料、食品添加物についてはいろいろ知って、気をつけるようになっていた頃でも、ワクチンやクスリの危ない話は全然知らなかったし、お魚の養殖方法が悲惨だったり、ウナギやマグロのように絶滅が危惧されているなど持続不可能なことも知らなかったし、環境を守りたいと思いながら戦争と環境問題がつながっていることもわからなかったし、知らないことがいっぱいで、自分が望む世界のあり方とは真逆の世界を下支えするような行動も、知らずにたくさんしていました。

マルシェに行くようになったり、仕事仲間とプライベートでも話をよくするようになったり、フェアトレードショップや自然食品店、身体に優しい食事を提供してくれる飲食店、オーガニックコットンのお店などの人たちと仲良くなって、いろいろお話するようになったおかげで、自然とたくさん情報に触れられるようになりました。納得行かない話は図書館やインターネットで調べたりして裏をとったり。そうしてだんだんと自分なりに理解を深めて、行動を改めて来られました。

自分の場合、知らないことは恥でも何でもなくて、「えー知らなかったー!教えてー」という感じになるのですが、知らなかったことを恥に思う人もいるようです。自分が知っていて、あまり知られていない話を誰かが知っていたら、自分の場合、稀少な仲間を見つけて、うれしいと感じるのですが、自分だけ知っていることを誇りにしておきたい人もいるようです。それってどうなんかなぁー?とは思うのですが、気持ちよく情報共有ができる技を身につけたいところです。私はそういうのを知らずにしゃべってしまい、気づかないうちにプライドを傷つけているらしいので…。

20140921

見てくれている人

【旧暦葉月廿八日 月齢 27.5 白露 玄鳥去(つばめさる

昔、職場でお世話になっていた人(仮にAさんとしたいと思います)と、「見てくれている人っていますよね」という話になったことがありました。

偶然でしたが、その「見てくれている人」というのは、二人にとって同じ人でした。彼は隣の部署で英語の学習書の編集をしていて、私たちがそんな話をしていた頃には別な会社に転職していました。

Aさんはデザインが上手で、Aさんの作る本の販促物のデザインはとても素敵です。販促物のデザインで遅くなった時に、その「見てくれている人」とたまたま帰りが一緒になって、Aさんが彼に、「英語の学習書の部署なのに、英語ができないのが申し訳なくて」と話したら、彼は「Aさんはデザインができるでしょう?僕にはできない。それと一緒じゃないかな。僕ができないことをAさんがやってくれているんだから、申し訳なくなんか思わなくても」と言ったのだそうです(Aさんは私から見たらかなり英語ができます。厳しい英語の学校に通って特訓していた努力家さんで自分に厳しいのです)。部署が違っていて、何をしているかわからなさそうなものでしたが、Aさんは見てくれている人っているんだなぁと思ったと教えてくれました。

それを聞いて、私もAさんに、彼が「見てくれていた」話をしました。私が大学で英語を専攻していたのを知って、彼は私に「読んでみる?」とゲラ刷りの原稿を渡してくれたのでした。一通り気づいたことを書いて返しました。その時は何もなかったのですが、だいぶ後になって、編集部でインターンをさせてもらえることになったときに、彼が「(ゲラには)変な指摘もあったけど、あの年齢でたいしたもんだ。育てないともったいない。出版業界が厳しいからと、即戦力しか採らない時代だけど、新しい人を育てないと先はどうなるだろう。僕たちはもう育てる側に立つ年齢になっているのに」というようなことを話していたと、他の人から聞きました。それまで、インターンの前例がなかったことを考えると、私がインターンをさせてもらえることになったことと、彼のその言葉が、無関係だとは思えませんでした。そのインターンを通じて私は編集の経験を積ませてもらうことができて、今の仕事につながっています。

この話を思い出したのは、最近、別の「見てくれている人」の存在を知って、うれしくなったからでした。私が過去にした仕事を密かに見てくれていた人から、新しい仕事をいただきました。とても楽しい仕事で、やりがいを感じています。

その過去の仕事というのは、誰にも悪気はなくて、何かの行き違いだったのだと思うのですが、実は、費用のことで少し不公平なことがあったことを偶然知ることになってしまい、やる気をなくしそうになったものでした。引き受けたからにはいい仕事をしよう、最終的に使う人が喜んでくれるものにしようと、気を取り直して、手を抜かずにきちんと全力でやった仕事でした。そうしてできあがったものを見てくれていた人から楽しい仕事がやってくるとは。どんなことがあっても、一つ一つ、丁寧に、いい仕事をすることの大切さを学びました。

最初のエピソードで書いた「見てくれている人」も、転職が決まったのは「自分の仕事を見てくれている人がいて、来ないかと言ってもらえた」と言っていました。私も誰かのより良い歩みをそっと後押しするような、「見てくれている人」になれるといいなぁ、そんなことを思いました。

20140918

人工甘味料のリスク

【旧暦葉月廿五日 月齢 23.5 白露 玄鳥去(つばめさる

人工甘味料で代謝異常がおこり、肥満リスクが高まる可能性があるというニュースを新聞で見かけました。そのニュースで取り上げられていた研究論文の要約はコチラです。

20140914

殺虫剤入りのお茶を飲んでいませんか?

【旧暦葉月廿一日 月齢 19.5 白露 鶺鴒鳴(せきれいなく

我が家では無農薬・無化学肥料・フェアトレードのお茶を飲んでいるので心配ないのですが、家族や友人、知人がそうではないので、グリーンピースの報告を読んで、とても心配になりました。事実を知って、それでも飲むならそれは本人の自由なのですが、知っていたなら飲まなかったということもあるので、以下に紹介します。

お茶に農薬? インドからの報告

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/50478/

この報告は、インド国内で販売されている、パッケージされた茶葉を対象に残留農薬を調査した結果をまとめたもの。インドで生産されているお茶の11%は世界に輸出されていて、輸出されたお茶の多くは、リプトン、トワイニング、テトリーなどのメジャーブランドとして流通しています。

調査結果の要旨を以下に引用します。

【調査結果の要旨】
・46サンプル中、合計34種類の農薬が検出された。サンプル全体の96%で検出された。
・検出された農薬の中には、最も危険な農薬であるモノクロトホスと、ミツバチの大量死の一因にもなっているネオニコチノイド系農薬イミダクロブリドが検出された。
・農薬が検出されたサンプルの半数以上は、10種類の“カクテル(混合物)”の農薬が含まれており、その内の1つのサンプルからは20種類の殺虫剤が混合していた。
・最低でも一つの農薬が検出されたサンプルは、EUが設定した残留基準値を超えていた。
・検出された農薬34種類の内、23種類の農薬はインドで茶葉栽培への使用が許可されていない。さらなる調査によると、インドで1989年以降、使用が禁止されている農薬であるにも関わらず、DDTが頻繁に使用されていた。
リプトンを販売しているユニリーバは、今回の報告を受けて、2020年までに原材料の農産物を栽培する際に使用する農薬を減らすなど、持続可能な農法への転換をするとしています。また、インドのお茶については、農薬に頼らない農法について科学研究を開始すると発表しています(参照:Unilever Commissions Research in India on the Feasibility of Non-Pesticide Methods of Plant Protection for Tea Crops)。

ちなみに、要約に出てきているネオニコチノイド系農薬は、虫だけでなく、人間への影響も懸念されていて、中枢神経系、自律神経系、骨格系に関連する多様な症状を引き起こす。脈の異常、指の震え、発熱、腹痛、頭痛、胸痛、短期の記憶障害も起きるという研究結果もあります(参照:中村隆市さんのブログ記事「農薬ネオニコチノイドに警鐘  「予防原則」で命守れ※新聞記事などの引用を交えての考察です)。

国産は安心というイメージがありますが、ネオニコチノイド系農薬の使用基準値は、日本は実はとても高くて、最も低いヨーロッパの数百~千倍(物によって異なる)です。しかも、ヨーロッパでは2015年までに使用を禁止する決定をEUが出しています。お茶の話題なので、お茶について言えば、日本のお茶は使用基準値が50ppmで、EUの0.1ppmに対して500倍もの差があります。美味しんぼの雁屋さんもブログで書かれていますが、私もミツバチの二の舞いにはなりたくないし、周りの人にもなってほしくありません。

*ネオニコについてもっと知りたい方はコチラ

無農薬・無化学肥料・フェアトレードは贅沢品という考え方をしている人が多いようなのですが、数十円~数百円くらいしか値段は変わりませんし、無農薬・無化学肥料・フェアトレードのお茶はおいしいのでミルクや砂糖がいりません。健康を害したらもっとお金がかかるので、トータルで考えたら、どっちが経済的にも健康的にもプラスになるでしょうか?

それに、農薬を使用せざるを得ない状況を作られている農家の人たちは、買って食べて取り込む消費者よりももろに農薬の影響を受けています。安いからと慣行栽培のものを買い続けていれば、状況を変えることはできません。農薬などの資材費がかかるのに、安くしか売れないので、農家の人は金銭的にも苦しくなり、儲かるのは農薬を売りまくる農協や企業だけです。危ない農薬を浴びずにおいしい農産物を作れる体制をみんなでつくっていくほうが賢明だと私は思います。