筆子さんがシンプルライフについて書かれた本『買わない暮らし。』を読みました。
『買わない暮らし。』(筆子・著/大和出版・刊) |
物を買うということについて、ここまでとことん考えられているとは。さまざまな視点で考察されたことがよく整理されていてとてもおもしろかったです。買い物をしてしまう心理や、買い物をさせようとする売る側の作戦なども考察されていて、「わかるわかる!」と頷きながら読みました。筆子さんは今はシンプルライフをされているとのことですが、20~30代の頃は買い物をしすぎていたと書かれていて、その頃の買い物の傾向やそのときの背景なども率直に語られていました。本の中でも触れられていましたが、この本は全く物を買わないための本ではなく、必要なものだけを買えるようになるための本でした。
買ったものの記録をつける「買い物日記」を筆子さんはおすすめされていました。これは私も家計簿のような形で買ったものの記録をつけていますが、かなり効果があると感じています。筆子さんはGoogleのスプレッドシートに、買ったものが家に入ってきた日付と、買った場所、金額を記入しているそうです。やりやすくて続けられる方法で自分で把握できれば何でもよいと思います。私は手書きのほうが空き時間にさっと開けて便利なので方眼のルーズリーフにひたすら買ったものと場所と金額を書いています。これをするようになってから、お金をさらに意識的に使うようになったと感じます。
記録をつけるといいことは他にもいろいろあります。例えば、我が家では、オーガニックの豆乳やナッツ、小麦粉、醤油や天日塩など、まとめ買いをしているものがいくつかあるのですが、それが一定期間にどのくらい必要かを把握できるので、賞味期限内に使い切れないという事態を防ぐことができています。あとは、月にどのくらいのお金が必要なのかを把握して、欲しい物があるときにそれは今買えるものなのかどうかを検討できたり、何を買いすぎる傾向があるのか分かったり。ちょっと面倒ではありますが、何かと役に立っていて、かれこれ5年ほど続いています。
ちなみにまとめ買いについては、筆子さんはおすすめされていませんでした。コーラを例にしてわかりやすく説明してくださっています。単価は安くても一回に支払う金額が高い、保管しておかなければならないので空間が必要になる、一定期間に消費しなければならないというタスクが発生する、変化に対応できなくなる、など、どれも「納得!」な理由が並んでいます。それから、単価が安くなるのとたくさん家にあることから消費のスピードが早くなるとも。身に覚えが…。
変化に対応できなくなるというのは、私も何度が経験しています…。つい最近もこんなことがありました。我が家ではオーガニックはちみつもセールのときにまとめ買いしていたのですが、ある日のこと、アーユルベーダの本を読んでいると、はちみつは40℃以上の熱を加えるとアーマ(毒素)になるという話に遭遇。ネットで調べてみると、科学的にも、はちみつは加熱すると最終糖化産物(AGEs)が増えるという話が出てきました。うちにまだたくさんあるハチミツを確認してみると、処理温度については記載がありません。「まだこんなにあるのにどうしよう!」という事態になりました。
購入した時点では本当に使うことが分かっていても、こんなことも起こりうるので、まとめ買いはたしかに、なかなかリスクの高い買い方だと思います。
本の中で、子どものときに「お金は大切に使おう」とはよく言われるものですが、学校で計算は習っても、具体的にお金を上手に使う方法は学ばないと指摘されていて、まさに!と同感でした。上手に主体的にお金を使う方法を早い段階で身につけておくことはとても重要だと思いました。お金をたくさん稼がなければならないという呪縛から自由になるためにも、本当に大切なものにお金を使えるようになるスキルをなるべく早く身につけたいものです。