【旧暦長月廿六日 月齢 24.9 寒露 蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)】
フェイスブックで流れてきたテレホンカードの寄付の募集。虐待や性的搾取を受けている女子高生たちが、携帯電話を奪われて、公衆電話から電話をかけてくることが多く、家に眠っているテレホンカードがあったら送ってほしいという内容だった。
フェイスブックで流れてきたテレホンカードの寄付の募集。虐待や性的搾取を受けている女子高生たちが、携帯電話を奪われて、公衆電話から電話をかけてくることが多く、家に眠っているテレホンカードがあったら送ってほしいという内容だった。
リンク先に飛んでみると、「難民高校生」の文字に目を疑った。家にも学校にもどこにも居場所がなく、他に信頼できる人もいない。そんな絶望的な状況に置かれている高校生のことをそう呼んでいるそうだ。
リンク先の団体である、女子高校生サポートセンター/一般社団法人Colaboの代表の仁藤夢乃さんの設立趣意書を以下に転載する。
水商売や売春、変なビデオや本に出てくる女性に偏見を持ったこともあったが、悲しい事情から巻き込まれてしまう人も多いことを知った。
世の男性のみなさんにも、そういうものを見たり買ったり、そういう店を利用したりすることで、こういう状況に加担するのはやめてほしいと節に願う。
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設立趣意書
高校時代、私は渋谷で月25日を過ごす“難民高校生”でした。
家族との仲は悪く、先生も嫌いで学校にはろくに行かず家にも帰らない生活を送っていた私は当時、自分にはどこにも「居場所がない」と思っていました。そして、街には同じように「居場所がない」と集まっている友人がたくさんいました。
私は、かつての私のように家庭や学校、他のどこにも居場所がないと感じている高校生のことを“難民高校生”と呼んでいます。当時の私や友人たちは、家庭にも学校にも居場所を失くした“難民”でした。
家庭と学校の往復を生活の軸にしている高校生は、限られた人間関係性しか持っておらず、家庭や学校での関係性が何らかのきっかけで崩れるとすぐに居場所がなくなってしまいます。“難民高校生”には、誰でも、すぐになる可能性があるのです。
そうして“難民”となった彼らが、彼らを見守る大人のいない状態で生活するようになると、そこには危ない誘惑がたくさん待っています。若さや体を売りにした仕事や危険な仕事、未成年の少女たちの水商売や売春への斡旋の現場や、暴力、望まない妊娠や中絶など、目をつぶりたくなるような現実を、私はたくさん目にしてきました。
ただでさえ、家庭や学校に居場所を失くして精神的に傷ついている“難民高校生”たちは、そういう世界で生活を続けるうちに「これからどうなっていくのだろう」と不安になり、「自分は何をしているのだろう」と自信を失くし、「夢や希望を持てない社会」に絶望してしまいます。
このままの生活を続ける以外にどんな選択肢があるのかすらわからないまま、そうした生活を続けるうちに、彼らはそういう世界で生きる人たちとの人間関係しか持たなくなり、ますます“難民生活”から抜け出せなくなってしまいます。
そして、彼らがその生活から抜け出せないまま大人になり親になると、彼らを取り巻く問題は、次の世代まで連鎖する可能性があります。
“難民高校生”の存在は一時的なものではなく、「次の世代につながる問題」なのです。
問題の背景には、「関係性の貧困」があります。“難民高校生”の問題は、貧困問題なのです。
“難民高校生”や予備軍のために必要なのは、家庭や学校の「外の社会」との日常的な関わりです。居場所や社会的なつながりを持っていない高校生は、「外の社会」との関わりの機会や「外の大人」との関係性を持っていません。
居場所がない高校生を取り巻く問題は、「若者だけの問題」や単なる「個人の問題」ではなく、背景には私たち一人ひとりがつくっている「社会」があります。
一人ひとりが、“難民高校生”や予備軍の存在や彼らの抱える問題を知り、目を向けなければこの現状は変わりません。
しかし“難民高校生”や“難民高校生予備軍”の存在や、彼らを取り巻く問題の認知度は低く、 学校での学習に困難を抱えている人の「リスタートの機会」や、青少年と地域社会の関わりの場も少ないのが現状です。
そのため、私たちは“難民高校生”の問題を社会に発信し、それらの認知度を上げるとともに、“難民化”する高校生を減らすため、若者の視野を広げ、「若者が夢や希望を持てる社会」を目ざして『若者と社会をつなぐきっかけの場づくり』を行います。