20160823

翻訳の仕事、ときどきつらいこともある

基本的には楽しいですし、やりがいを感じているのですが、たまーにつらいこともあります。どんな仕事もそうだとは思いますが・・。

翻訳の仕事で鼻高々な人に当たってしまう(幸い私はたまに)と、「私、なんでこんなおごり高ぶった人に英語の(日本語の)レクチャーをしなきゃいけないんだろう…(泣)」と思いながら、説明をひたすらしないといけないことが多くなります。

翻訳コーディネートや訳文の校正などの仕事をしている人のなかには、フリーの翻訳家になりたいけど、そこまでの技術をまだ習得していないとか、機会がない、フリーでは食べていけるか心配、などといった理由で、翻訳会社などでの契約社員や正社員の仕事を選んでいる人もいるようで、自分に自信が持てずに仕事をしているみたいです。自分が本当はやりたいと思っているフリーの翻訳をしている人を妬んでいる人もいるようです(フリーの人は食べていけるかどうかというリスクも自分でしょってるんだけど…)。仕事を翻訳者に発注する立場にいて、最終的にチェック(*)をしてクライアントに納品するという業務をしていると、翻訳者よりも自分のほうが優秀だと思うようになるのか、傲慢になってしまう人もいます。

*たいていの人は「校正」という言葉を使うけど、私は直しがあるかどうかわからないという前提で「チェック」という言葉を使います。

チェックをする立場にばかりいると、訳す苦労がわからないのか、少しミスがあっただけで鬼の首を取ったような態度になる人もいるし、間違いとは言えないところを間違いだと思い込んで攻撃してくる人もいます(そういう場合には間違いでないことを説明しないといけなくなり、その結果、日本語や英語のレクチャーを無料でしてあげているような状態になる)。そんなら、全部自分でやれば?と言いたくなります。

以前、パートタイムで働いていた会社で、となりに翻訳コーディネートをしている部署があったのですが、その部署の人たちもまた、翻訳者の陰口ばっかり言っていました…。

「こんなのまで間違ってるのよ!」
「こんな基本的なミスまで、信じられない! よく仕事が続いてると思うわよ」
「◯◯とか常識でしょ? 情けないわね~」

おーほっほっほってな感じの日もあれば、ふんぞり返っている日もあれば、ヒステリックな日もある。でも、翻訳者がいないと仕事ができないのですから、電話をかけて依頼している様子を聞くと、「いつもお世話になっております~。…あら、お引き受けいただけるんですか、まあああ~それは本当に助かりますぅ~」みたいな感じで話している。隣の部署から見ていてぞーっとしていました。

私が隣の部署で翻訳をしていることを聞きつけて、「トライアル受けてみない?」と何度か誘ってもらったのですが、それを見ていて恐ろしすぎて「いや~、私はまだまだそんなレベルでは」などと言って、うまく逃げていました。

自分が憧れることをしているから憎たらしいんですかねぇ。でも、お互いに持ちつ持たれつではないですか。こんな酷評する姿、醜いったらありゃしないですよ。そんなに憎むくらいだったら、集中して勉強して、翻訳者になるなり(なってもあんまりお金にはならないが)、誇りに思えるような仕事に就くなり、自分に自信が持てるように努力したらいいのではないでしょうか。

幸い、英語も日本語もよくできて、なおかつ謙虚で配慮のできる、技術面でも人間性でも優れた人と一緒に仕事をすることが多いのですが、それでもたまには傲慢な人に当たってしまうこともあります。語学力という単一的なスキルのものさしで、自他を評価する人が多いためだと思います。どうしても競争になってしまうんでしょうね。他人をああだこうだ言う暇があったら、自分を高める努力をしたほうがいいと思います。

実るほど頭を垂れる稲穂かな――父がよく口にしていたことわざでした。自分を高めれば高めるほど、自分の無知を自覚するようになり、だんだんと謙虚になるものだと思います。翻訳の仕事をするようになって、大学生の頃よりはずっと英語も日本語も運用能力が上がったとは思いますが、英語のことも、日本語のことも、まだまだ知らないことが多いし、知れば知るほど奥が深くて、謙虚にならざるをえません。

私もチェックの仕事をすることがありますが、相手の誤りを指摘する前に、自分がわかっていないかもしれないという前提で、辞書とインターネット検索でよく調べて客観的な事実を探します。明らかに誤りである場合でも、こういう事実があるので、こうではないでしょうか?と、相手が間違っていると決めつけずに、配慮しながら伝えるように気をつけています。辞書をひくことすらもせずに攻撃する傲慢な人が結構いる。SNSのコメントやアマゾンのレビューなんかを見ていてもそうですね。どれだけ物を知っても、謙虚な姿勢がなくなってしまえば、そこで成長は鈍化するか、ストップしてしまうのではないでしょうか。

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