20160816

原発再稼働に反対するデモを見に行って思ったこと

より正確に言うと、実は参加しに行ったのですが、デモを見て、複雑な思いになって、参加せずに帰ってきてしまいました。

私がたまたま遭遇したときがそういう場面だっただけで、全員が全員、このようなやり方をしていたわけではないと思いますので、それは予めご理解いただいたうえで、続きを読んでいただけたらと思います。

愛媛県にある伊方原発が再稼働されてしまいました。正気の沙汰とは思えません(*)。再稼働された8月12日まで、高松市の四国電力本社前では連日、抗議活動が行なわれていました。もう再稼働されてしまった後ではありましたが、12日は近くに行く用事があったので、せめて一度くらいは抗議に行こうと思い、抗議活動の現場に近づきました。社員の帰宅時間に合わせて18時前から数人の人たちが、抗議活動を行なっていました。

*伊方原発再稼動についてはコチラをご覧ください。
…ってなことで、本当に伊方原発を動かすなんてとんでもない!と、プラカードを持って立つくらいはできるかな、と思って、デモに参加しようと思いました。

しかし、近づいてみると、拡声器から聞こえてきた言葉が、「今日は出社が遅かったですねぇ。なにかあったんですか? (伊方原発再稼働を祝って)金一封でも出たんですか」(出社時間と昼休みにも抗議活動を実施していたよう)。なんという嫌味だろうとびっくりしてしまいました。そして、仕事が終わって一人で出てきた四国電力の社員に、「なんで再稼働したんですか?」と数人で詰め寄ります。社員の人は、顔をしかめて、迷惑そうに早足で逃げて行きました。

一般社員に決定権なんかありません。完全にお門違いだと思います。自分たちがどの部署で働きたいかさえ、彼らは自分で決めることができないでしょう。生活の安定(幻想かもしれないが)と引き換えに、会社の言いなりになるしかない。彼らを責めても意味がありません。社長や副社長くらいの上層部に「なんで再稼働したんですか?」と聞くのならわかりますが…。

自分で決めることのできない人を責める様子を見ていて、いたたまれなくなってその場を去りました。一日中働いて疲れて出てきたところに、あんなことを言われたら、つらすぎる。「金一封なんか出てねえよ!」「オレにはどうしようもねえんだよ!」と言いたくもなる。私にはできない、と、これは私のやりたい原発を止めるための行動ではない、と思いました。

怒りを向けるべき相手は、一般社員ではなく、もっと上層部もしくは政府。一般社員のみなさんには、真実を小耳に入れてもらって、覚えて帰ってもらって、できる範囲での協力をしてもらえるように促したほうが賢明ではないでしょうか。決定権のない弱い者に怒りをぶつけてもいいことはありません。むしろ、余計に反発を感じて、「反原発市民なんか嫌いだ!」と、原発推進の政党に投票してしまったり、ネトウヨ化してしまったりするかもしれません。

ただし、よく「全員が全員、わるい人間ではないのだから、反対運動をすべきではない」という意見がありますが、私はそうは思っていません。反対の声を上げなければ、メディアに取り上げられることもなく、歯止めをかけることができないからです。しかし、今回私が見たような、一般社員への個人攻撃や、変える力のほとんどない人を責めるようなやり方は、逆効果だと思いました。

まごころの残っている内部の人にどう働きかけるか、どうやって仲間になってもらうかが大事だと思います。変えたくても変えられない人、なにも知らないでいる人に対する思いやりの気持ちや、立場を考えた上での提案が大切だし、一方的に責めたてるのではなくて、なぜ、原発の再稼働がいけないのかを事実に基いて冷静に語るべきだったと思います。そうやって仲間にしていくようなやり方でアプローチすれば、内側から変えてくれる人たちが現れるかもしれないし、変えたいと思っているけど圧力が大きすぎて踏み出せずにいる人たちに勇気を与えることができるかもしれません。

原発再稼働に怒りを感じることは、私もわかります。でも、その怒りを、石みたいにして、ぶつけてはいけないと思うのです。しかも決定権のない弱い立場の人であればなおさらです。

デモを組織運営しているわけでもないのに偉そうなことを言うなというご意見も承知の上ですが、でも、こんなやり方では、逆効果だと思ったので、見て思ったことを書きました。原発再稼働にもともと反対の私のような人間でさえも、逃げて帰りたくなるようなデモでは、運動の広がりは期待できないと思います。SEALDsのデモや三宅洋平さんがかつて主催した大デモ、選挙フェスのような、いろんな人が参加したくなるような雰囲気づくりが大事なのではないだろうかと思いました。