20160719

三宅洋平さん meets 安倍昭恵さん、について。

参議院選挙で東京選挙区から無所属で立候補したミュージシャンの三宅洋平さん。私は3年前の参議院選挙で緑の党から比例代表で立候補されたときに、洋平さんのことを知って、対話の姿勢、伝える力、学習の速さ、地球と地球に生きるすべての人間と生き物たちを想う気持ちの強さなど、いろんなところがすごいなぁと思って、とても尊敬しています。

今回の選挙で当選できなかったのは残念でしたが、懐憲阻止勢力で6位を争っていた民進党の小川敏夫さんの当確が出たときには、ボランティアで集まっていた支援者みんなが歓声を上げたりと、自分だけの勝ち負けではない、目的の達成、望む現実の実現のために何が必要かが、共有されているのがすごいなぁと思いました。

安倍政権が狙う壊憲を阻止するために立ち上がった三宅洋平さんが、安倍首相のパートナーの安倍昭恵さんと会ったという情報をフェイスブックで知ってすごくびっくりしました。まずは何も書かないので、ご本人たちの言葉を読んでみてもらって、ご自身の感覚や考えに耳を傾けてみてもらえたらと思います。

【三宅洋平さんの投稿】



【安倍昭恵さんの投稿】


「高江のこと」というのは、選挙が終わった直後に、沖縄の高江では、アメリカ軍のオスプレイヘリパッド建設に反対する市民を排除しようと、機動隊が大量に動員され、ケガ人が出るなど、たいへんなことになっています。市民は美しい森を守りたいだけなのに。

参議院選挙でも現職の大臣を落選させ、野党統一候補の伊波洋一さんが当選して、民意をしっかりとつきつけたというのに。沖縄から選出された国会議員はこれですべて野党勢力になりました。安倍政権のやり方にNOをはっきりとつきつけているのにもかかわらず、権力で無理やり思うがままに森を破壊してアメリカの意向どおりにヘリパッドを建設しようとしているのです。

詳しくは以下の記事をぜひ読んでみてください。
マガジン9:三上智恵の沖縄撮影日記第55回「わずか9時間の歓喜~高江工事再開・民意圧殺の朝~」
東村高江に機動隊500人 辺野古の5倍投入へ(沖縄タイムス2016.7.13)
高江の機動隊投入 「暴力団壊滅と同規模」 自民議席失い、政府強行(琉球新報 2016年7月18日)
話を戻します。

三宅洋平さんが安倍昭恵さんと会ったことについて、私はこれだけ立場の違う人間が直接会って言葉を交わし、対話の糸口を開いたということは、すごいことだと思ったのですが、「権力側に三宅が取り入られた」とか「寝返った」、昭恵氏は安倍政権のむちゃくちゃの「ガス抜きをするプロパガンダツール」、「高江に行きましょうって言えなかったなんて」などなど、いろいろな批判が轟々で、三宅さんは叩かれまくっています。

心ない罵倒や口汚い批判がいろいろあって見ていて悲しかったし、的を得ていそうな憶測もあって、全然意見の違う人同士がこうやって会って話せるってすごいことだと思ってる自分は無邪気すぎるんだろうかと思ったりもしました。でも、やっぱり、ここまで立場や意見の違いを持ったままで直接会って言葉を交わすってやっぱり、本当に今までなかったことで、おもしろい時代に入ってきていると思いました。

立場や考え方が違うからこそ、意見や思いを伝え合うことが大事だし、立場の違いや批判を恐れずに物を言い合うことが民主主義の基本なのではないかと思いました。そうしないと似た意見の人たちとばっかりいて何も変わらないし、むしろ退化していくのではないでしょうか。批判を受けて、さらにブラッシュアップして、お互いに理解しあい、納得のいく着地点を見つけていくことが大事だと思います。選挙で勝つことだけが民主主義ではないし、多数決だけが民主主義ではない。

それに、怒りを向けるべきは、高江の問題をはじめ、原発や憲法の改悪など、さまざまな問題の元凶である今の政府と、対米従属の官僚、アメリカの軍部などなのに、どうしてその解決に向けて思いつく限りの手立てを講じている仲間を、自分と変わらない一市民をボコボコにいじめるのだろうか? 怒りの矛先を向ける相手が間違っているのではないだろうか? その怒りをきちんと、政府やきちんと報じないマスコミ、官僚やアメリカの軍部に向けたらいいのではないだろうか? 良識を持つ人々は、怖くて意見が言えなくなって沈黙している。こういう状況を見ていて私は悲しくなりました。

三宅洋平さんは、もともと、相手を敵にするのではなくて、対話のテーブルにつきたい、と話されていたので、私にとってはそんなに目くじらを立てることではありませんでした。洋平さんならそうするだろうな、と思っていました。ただ、政治家として考えるとどうか、という視点は私には全く欠けていたのですが、映画監督の想田和弘さんが今回の会い方はマイナスの影響が大きかったという見方をされているのを見て、確かにそうだと勉強になりました。


とくになるほどと思ったのが以下の部分です。
また、安倍昭恵がこれまで、本人がそれを狙っているのかどうかはともかく、こわもての安倍政権のガス抜き的な機能を担ってきたことは疑いようもない。今回の会合によって誰が政治的に得をするのかといえば、「反対者」に対する懐の深さを示すことができる安倍昭恵、いや、その配偶者である安倍晋三である。
政治というのは、大多数の理解の少ない人々にどのような印象を与えるのか、も重要なので、こういうところまで考えないといけないということなんだと思いました。

表現の自由は、まさにこのためにあるのだと実感しました。いろいろな人たちが、いろいろなことを言っているのを判断材料にして、自分の考えを形作っていく。想田監督の見解を読んだ後、じっくり考えてみて、今回はやっぱり、これでよかったんじゃないかな思いました。

理由は、今回の出来事で、三宅さんの話していることをしっかり理解している人たちとそうでない人たちがはっきり示されたので、三宅さんの考え方をもっときちんと伝えていく必要があることもわかりました。それに、敵対せずに対話をするという姿勢、これを示すことができたこともよかったと思います。意見の近い人だけと固まって、「そうだよね」「あいつら何もわかってないよな」と言い合ってばかりの人が多いので、全然違う意見の人たちが、意見は違っても人としては仲良くなれて、気軽に話ができる、という新しい在り方を示せたのではないかと思います。

また、ヒーローを待っている限りは、世の中は変わらないと私は思っているのですが、三宅洋平さんのようなちょっと危なっかしい政治的リーダーであれば、まわりがしっかりして、助言をしたり、情報を提供したり、自ら行動したり、というふうになっていって、主体的に動いて協力できる人が増えていくのではないかと思います。だれかすごい人になんとかしてくれ、というのでは何も変わらないと思うので。三宅さんは学習能力が高いので、今回のことでも多くのことを学んで、政治家としての自分というのをさらに意識して、適切な行動をされるのではないかなと思っています。こういう予想もつかないことをされるのが魅力でもあるので、そうなったらさみしくもありますが。