20160326

自分がしてもらってうれしかったことをまた別の誰かにパスしていくと、優しさが世界に広がっていく

【旧暦如月十八日 春分 次候 桜始開(さくらはじめてひらく)】

この前、行動のポジティブな連鎖について書いていて、香川に来る前に、いろんな人たちに温かく送り出してもらったことを思い出しました。

職場の送別会ではすごく温かい言葉をかけてもらったり、引っ越し先で使えるようにとオリーブの木のカッティングボードをプレゼントにいただいたりしました。カッティングボードは自然が大好きな私たちにぴったりの無塗装もので、こういうのを見つけるのはとても難しい。すごく苦労して探してくださったんだなぁと感動しました。ほかの方々も、手料理を作って自宅に招いてくださったり、焚き火を囲んで語り合う会をしてくれたり、本当にいろんな人たちに温かく送り出してもらいました。今でもよく相方と思い出話にふけっては、しみじみと温かさに浸っています。

よく会社で食事をごちそうしてくださった方は、自分も若いころはおごってもらったから、気にしないでと声をかけてくれたものでした。自分がしてもらった誰かの優しさを、人にもしてあげるという姿勢は、この方から教わりました。香川に来て知り合った友人のセリフから、それを「恩送り」と言うのだと知りました。

つい先日、夏に香川にやってきた友人が、また違うどこかへ長い旅に出ることになって、ささやかなfarewell partyを友人たちと開きました。私が主催するのも不思議に思われるなような関係性の友人で、なかには「なんでtom-tomが主催なん?」と思った人もいたんじゃないかと思いますが、自分が東京から香川に来るときにしてもらってうれしかったから、友人にもしたいな、と思いました。私がそう思えたのは、香川に来る前に温かく送り出してくれた東京の友人たち、お世話になった人たちがいたから。友人も喜んでくれて、いい恩送りができてうれしかったです。

だれかの優しい行為を受け取ったら、まただれか別の人に別な形で優しい行為をパスしていく。それを受け取っただれかがまただれかに優しくする。自分が受けた優しさを自分のところで止めないようにしたいなぁと思っています。そうすればまた、温かな優しさが世界に広がっていくからです。

会社やプロジェクトでお世話になった人たちは、私が引っ越してからの仕事のことも心配してくれて、今でもお仕事をくださる方もいます。その優しさを私のところで止めないように、香川で仕事に困っている人がいたら、仕事探しを一緒にしたりするようにしています。自分がしてもらってうれしかったから、人にもするようにするって、すごくいい優しさの広げ方だなぁと思います。

「恩送り」、英語でもこれに似た表現があって"pay it forward"といいます。言葉や生まれ育った国は違えど、こういう共通する感性を発見すると、うれしくなります。

例えば、
"I wanted to pay people back, (Sam) wanted to pay people back ... and they wouldn't take it," Richard said. "So we came up with the idea to pay it forward."(私訳:私は(助けてくれた)人たちに恩返しがしたかったし、サムも恩返しがしたかったのですが、彼らは恩返しを受けようとはしませんでした」とリチャードさんは語ります。「それで、恩送りをするという考えを思いついたのです」)
出典:The Rees Specht Life Foundation: How one couple pays it forward after losing their son Today News Mar. 17, 2016
のように使われます。これは、"Pay It Forward"というタイトルの小説とこれを原作とした映画に由来する表現で、私も大学生のときに観ましたが、とてもいい映画でした。

ペイ・フォワード(字幕版)

余談ですが、友人のfarewell partyのことを考えていたときにふと、だれもが旅の途中なんだなあと思いました。友人は長い旅の途中で香川に数カ月滞在し、私たちと出会い、またどこか別な土地へ長い旅に出ます。私も今はたまたま香川にいますが、いつどんな縁でまた別のところへ旅に出るかもわかりません。今ちょくちょく会っている友人たちもそう。

人生という大きな目で考えれば、どんな人たちとも、この世を旅立つまでの長い旅路の途中で、出会っている。こうして一緒に過ごす時間は、永遠ではないということをいつも忘れているけれど、旅の途中で出会った友人がまたどこかへ旅立つのを見送って、いつ別れがくるかも知れぬ貴重な時間を大切に過ごしたいものだと思いました。