20160328

人間以外の「おかげさま」

【旧暦如月廿日 春分 次候 桜始開(さくらはじめてひらく)】

「おかげさま」の気持ちが大事とかよく聞くようになったのだけど、人間に対してのことが多いような気がする。でも、人間以外の「おかげさま」もある。

食べ物や着るもの、使うものの素材などを提供してくれている自然界のさまざまな動植物や土、鉱物など無数の存在たちが、私たち人間の生命と活動を支えてくれている。今でこそ、「生態系サービス」なんていう言葉が当てられるようになったが、自然あふれる環境に住んでいる人々が、こんなにも自然の恵みに囲まれて暮らしながら、「なあーんもない」と嘆くことにも見受けられるように、人間は自然の恵みについて、とにかく忘れがちだと思う。



こうした、人間以外の存在たちは、ないがしろにされても、それでも私たちを支え続けてきてくれた。

感謝されなくても地球はただで空気を吸わせてくれるし、草々は土を耕し、生き物たちの糧となり、腐ちて土を肥やし、目に見えない微生物たちは忘れられがちだけれど、いろいろなものを分解して土をつくり、人間の皮膚を病原菌から守り、腸内で食べ物を消化し、おいしい発酵食品をつくり、虫たちや動物たちは微妙なバランスで自然界を保って、私たちに食べ物や、暮らしに必要なさまざまな素材を与えてくれている。

それを顧みずに、農薬などで虫や微生物を皆殺しにしたり、汚染物質を排出して水や空気を汚したり、森林や海を破壊したりして、動物たち、植物たちを苦しめていると、結局は、自分が困る結果になる。絶妙なバランスで成り立っている自然界がその健全さを失うと、私たちは食べるものに困り、必要な素材も手に入れられなくなるから。

人間は人間以外の生き物たちへの「おかげさま」を忘れて、目先の利益のために、自然を破壊して開発をしたり、汚染物質を撒き散らしたりする。それでも、人間以外の生き物たちは、健全さを取り戻そうと黙々と自分たちの役目に集中している。

そんな生き物たちへの「おかげさま」を思い起こせば、暮らし方はきっと変わってくると思う。そうした生き物たちと一緒に地球の健全さを取り戻す暮らしは、自分の心身の健全さを取り戻す暮らしでもある。人間も自然の一部であり、人と自然は対立するものではなく、一つだから。

それに、人間はきっと賢い生き物だから、地球の健全さを取り戻そうとしている生き物たちの働きを阻害することなく、便利で豊かな暮らしも作る技術だって生み出すことができると思う。太陽熱温水器や、種々のパッシブハウス技術、空気で走る自動車、バイオガスコンロ、ソーラーフードドライヤーなどはそうした技術の一例。

自分の目先の利益ばかりにとらわれそうになったら、「おかげさま、おかげさま」と頭のなかで唱えてみると、違った視点が見えてきて、全体の調和と幸福のことを考えられるようになるのかもしれない。

◎人間以外への「おかげさま」を思い出させてくれる本とドキュメンタリー

自然農という生き方―いのちの道を、たんたんと (ゆっくりノートブック)

川口由一の自然農というしあわせwith辻信一 [DVD]

地球に生まれたあなたが今すぐしなくてはならないこと (KKロングセラーズ)