20150716

おわりとはじまり

【旧暦水無月朔 小暑 蓮始開(はすはじめてひらく)】

辛いときに聞いたり、口ずさんだりする応援歌が私にはいくつかあります。中島みゆきさんの『時代』は小学校のときからの応援歌。問題が大きいときほど意識して、複雑な気持ちに頭と身体を乗っ取られるまえに、歌って追い出してしまうのです。でも、ときどき、歌う気持ちにもなれないくらいのときがあります。

しばらく前のこと、2、3カ月ほど、そんな気分だったときに外へ出るといつも、どこからともなく、Mr. Childrenの「足音」という曲が聞こえてきて、行く先、行く先、「足音」に励まされるという不思議なことが続いていました。ドキュメンタリー映画で制作にまつわる物語を見てすごく感動して、歌詞のどのあたりが特に、ということもなく、曲全体が大好きで、もうイントロを聞いただけで、私もがんばろう、もう一歩、進んでみよう、と思える曲になっています。

先日、「今日の夜、Mr. Childrenのアルバム制作を密着取材したドキュメンタリー番組があるよ~♪」と、相方が朝からウキウキハイテンションで、「足音」も含め、いろんな歌を口ずさんでいました。私は、その日、けじめを一つつけようとしていた日で、不安、失望、喪失感、心の中のいろんなモヤモヤと闘っていました。それを聞いて、今日はいっちょ頑張って、一つ、扉を丁寧に閉めて、夜のその番組を楽しみに見よう、と、問題とまっすぐ向き合うことにしました。

無事に一つ、幕を閉じて、携帯の小さな画面で、相方と二人、番組を見ました。中心的に取り上げられていた曲の一つに、Starting Over(新たな出発をする、もう一度始める、という意味)という曲がありました。「なにかが終わり また何かが始まるんだ」と繰り返されるフレーズが、そのときの自分にぴったり過ぎて、翌朝もずっと頭の中でぐるぐるリフレインしていました。あまりにもぴったり過ぎて不思議なくらいでした。自分の手で、ひとつの終わりをつくった私に、きっと新しい何かがやってくる、そんな希望が湧いてきて、すごくすごく励まされました。

そして、「なにかが終わり また何かが始まるんだ」を聞いた翌日、本当に新しいうれしい始まりがやってきていて、あーがんばってよかったなー、ほんと、その通りだったんだなーと、うれしい驚きでした。今回のことは、辛くても、直視したくなくても、逃げずに、一つのことにきちんと終わりを作ることで、次のステップに進めるということを学ぶ良い機会になりました。

番組を見ていて、並大抵でない努力の蓄積がこのかっこよさを作っているんだなぁ、とものすごく感動しました。たとえば、Starting Overの歌入れでは何度も、もう一回、もうワンテイクいい?と、ワンフレーズ歌うごとに歌い直しをして、12時間以上歌い続け、さらにまた別の日に、もう一回歌わせて、と、自分で満足できるまで妥協せずに、何度も何度も録り直しをしている様子が映し出されていました。自分から出たものを否定して、壊してすぐに作り直すことは、自分のありのままを認めていない限り、できることではないなぁ、すごいなぁ、と本当にかっこよかったです。自分には自分の現実をまっすぐに見て、妥協せずに否定する、そして、打ち砕く潔さがあるだろうか。自分にも自分にしかできない何かで、人の心を潤すような、誰かの励みになるような何かを、生きているうちに一つ、成し遂げたいなぁ、そのために努力していきたいなぁと思いました。

並大抵でない努力を積み重ねること、それから、自分を否定する潔さを持つこと、そこに至るまで、私にはまだいくつも越えなければならないステップがあるように思います。それを明確にして、一つずつ、一歩ずつ、歩いていけたらいいな、と思いました。