20140817

生まれ故郷

【旧暦文月廿ニ日 月齢 21.2 立秋 寒蝉鳴(ひぐらしなく】*下弦*

「元気ですか」
「おかげさまで」

お盆の初日に近所のお店のお父さんと交わした短い会話だ。

買い物の帰りにお店の前を自転車で通りかかったら、ちょうどお店のお父さんが車で出かけるところだったので、こんにちはと挨拶をした。お父さんはすぐに言葉が出ずに一瞬難しい表情になったように見えた。いつもとは違う間があった後、交わした会話がそれだった。

すぐにはわからなかったが、後になってよく考えてみると、お盆なのに帰れなかったのか、と不憫に思ったのかもしれないと思った。普段から、私の実家が遠いことも気にかけてくれていて、仕事はあるの?と収入の心配もしてくれているお父さんだから、きっとそう思ったんだろうと思った。西の人でありながら「お盆なのに帰らないの?」と単刀直入にきかない奥ゆかしさが心憎かった。

母も電話で「去年は今頃来ていたなぁ」としみじみ言っていた。「今年はなんで帰ってこないんだ、金がないのか」と言わないところが、やっぱり秋田の人だなぁと思った。

今年は過渡期でお金がなかったというのもある。仕事をつくっていくまでは、暮らし以外に使う余分なお金はない。ようやく慣れてはきたが、手と身体を動かす毎日の暮らしはやることがたくさんで、完全に慣れるまでは一つ一つに時間もかかるし、家の整備などのベースづくりもあり、時間的にも余裕がなかった。

新拠点でコツコツと暮らしを創りながら、のんびり過ごすお盆もいいが、さまざまな土地のナンバープレートの車や、再会を喜んで楽しそうにごちそうを選ぶ家族の姿を見ていると、やっぱり、生まれ故郷が恋しくなった。

相方も同じ感覚だったようで、今頃みんなで楽しく集まってるんやろなぁ~とちょっとさみしそうだった。オーガニックではないものはめったに買わないのに、珍しく和歌山県産のみかんを使ったストレートジュースを選んでいて、「仙人だと思っていたけど、やっぱり人の子だったのね」と笑った。さすがに遠いのか、秋田のものは見つけられなかったが、和歌山のものは見つかってよかった。

秋田にも和歌山にも、ちょいちょい帰れるように、節約と仕事をがんばろうと気合いが入った。